概要情報
事件名 |
サイバネット工業 |
事件番号 |
神奈川地労委 昭和53年(不)第47号
神奈川地労委 昭和53年(不)第48号
神奈川地労委 昭和54年(不)第2号
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申立人 |
総評全国一般神奈川地方連合サイバネット工業支部 |
被申立人 |
サイバネット工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和54年 7月27日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
職制を含む従業員による組合役員2名に対する就労妨害、組合脱退勧奨、退職強要、同人らに対する業務の変更、不就労に対する賃金不支給、ビラ配布の組合員に対する妨害を行いこれらに関する団交申入れを拒否した事件で、従前業務への復帰、就労妨害の禁止、不就労期間のバック・ペイ(年5分加算)、ビラ配布に対する妨害の禁止、誠意団交応諾及びポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1. 被申立人は、申立人組合員X1及び同X2両名について、次の措置をとらなければならない。 (1) 両名の業務内容を昭和53年10月27日以前の状態に戻し、被申立人の職制及び従業員をして両名の就労を妨害させてはならない。 (2) 昭和53年11月16日以降両名が就労日に就労していたならば得たであろう諸給与相当額に年5分の金額を加算して支払わなければならない。 2. 被申立人は申立人組合のビラ配布に対し、その職制及び従業員をしてビラを奪取したり、配布者に体当たりするなどして妨害をさせてはならない。 3. 被申立人は、申立人組合の昭和53年11月15日及び16日付団体交渉申入れ事項を内容とする団体交渉申入れに対し、誠意をもって応じなければならない。 4. 被申立人は、本命令交付の日から5日以内に下記誓約書を縦2メートル、横3メートルの白色木板に読みやすい字で明瞭に墨書し、被申立人会社の本社及び玉川作業所の各正門入口の見やすい場所にき損することなく10日間掲示しなければならない。
誓 約 書 当社職制、従業員らが貴組合員X1、同X2の両氏に対し、(1)仕事の内容を変更したり、(2)貴組合からの脱退もしくは当社からの退職を強要したり、(3)さらにはつるしあげや唾を吐きかけたり、(4)暴力的にX1氏からカセットレコーダーを奪い、中のテープを抜きとるなどの行為をしたこと、これらの行為によって(5)両名をして就労不能ならしめ欠勤を余儀なくさせたこと、さらに(6)昭和53年11月15日のビラ撒きを妨害したことなどを会社が黙認し、放置したこと及び貴組合の団体交渉の申入れに対し、一時金問題以外には応じられないとして応じなかったことなどは今般神奈川県地方労働委員会により不当労働行為として認定されました。よって、ここに陳謝の意を表わし、再びこのような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
昭和 年 月 日
総評全国一般神奈川地方連合サイバネット工業支部
執行委員長 X3 殿
サイバネット工業株式会社
代表取締役社長 Y1
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判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
組合役員2名に4日間の指名ストとそれ以降の不就労の事実があっても、同人らに対して職制及び従業員らが一体となって罵詈雑言の限りをつくし暴行を加えたことにより、同人らがやむなく取った措置であると認められる以上、これら不就労を理由とした賃金不支給は不利益取扱いといわざるを得ない。
1302 就業上の差別
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
組合員2名の公然化直後、同人らの従来の仕事を取り上げ雑用等に従事させたことが不当労働行為とされた例。
2242 回答なし
組合役員2名の就労問題について団交に応じたものの、席上における常務の発言内容からみて、誠意をもって団交を行ったものとはいえないとされた例。
2400 その他
組合役員に対する仕事取り上げ等の一連の行為及び協定書の未処理問題等に関する団交申入れに対し、会社の求めに対して組合が釈明しなければ団交に応じられない等としてこれを拒否したことが正当な理由とはいえないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
職制を含む従業員の組合役員2名に対する就労妨害、組合脱退勧奨、退職の強要等の言動が会社の態度、措置からみて、会社がこれらを黙認、利用した支配介入行為であるとされた例。
3020 組合活動への制約
3410 職制上の地位にある者の言動
職制を含む20数名の従業員が会社門前における組合員のビラ配布を妨害した行為が現場にいた取締役らがそれを制止しなかったこと等から会社の不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集66集93頁 |
評釈等情報 |
 
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