労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  光洋精工 
事件番号  大阪地労委 昭和50年(不)第3号 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合光洋精工支部 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合 
被申立人  光洋精工 株式会社 
命令年月日  昭和54年 6月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  研修会に末端職制らを出席させ組合脱退を企図したこと、組合脱退に利用するため「政治地図」及び「人脈図」を作成させたこと、組合脱退工作を行うため役員選挙に介入したこと、組合事務所利用につき組合の使用を禁止し別組合に占有使用させたこと、慣行に反して書記長の組合用務出張を認めなかったこと、休憩時間中のビラ配布を非難し、てん末書への署名を強要した等の事件で、ポスト・ノーティスを命じ、将来にわたるこれらの行為の禁止申立ては棄却した。 
命令主文  1. 被申立人は、縦2メートル、横 1.5メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、国分、高松及び徳島の各工場正門付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
年  月  日
  各申立人代表者あて
被申立人代表者名

 当社は、貴組合、貴地方本部及び貴支部に対して行った次の行為(ただし、大阪地方本部については第2項後段、第3項及び第4項を除く)が、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
(1) 貴組合に所属する当社従業員を貴組合から脱退させるため、昭和49年 5月24日から同月26日まで、ホテル三津富で行われた研修会に派遣したこと。
(2) 当社従業員らをして政治地図及び人脈図づくりに取り組ませ、かつこれらを利用して貴組合からの脱退工作を行ったこと。
(3) 昭和49年 9月に行われた高松支部の役員選挙に際し、貴組合員を貴組合から脱退させるため、X1を執行委員に立候補させ、かつその当選に努めたこと。
(4) 昭和49年10月14日、高松工場長Y1、同工場生産課長Y2をして高松支部書記長X2に対して酒食の提供等をなさしめ、貴組合からの脱退賛成の立場に立つことなどを求めたこと。
(5) 昭和49年12月末に行われた光洋精工支部の臨時中央大会及び臨時支部大会開催要求のための署名活動の方針決定及びその実施に関与したこと。
(6) 昭和50年 1月 6日、国分支部書記長X3の「労組出張承認願」を正当な理由なく距否したこと。
(7) 昭和50年 1月11日、国分支部組合員X4が休憩時間中ビラを配布したことを非難し、更に同人を呼び出して始末書を提出するよう強要したこと。
(8) 昭和50年 1月 5日から同年 3月20日までの間、国分支部の組合事務所に立入禁止の貼紙をし、更に出入口を釘付けし、あるいは光洋精工労働組合員をして占有使用せしめるなどして、国分支部組合員の使用を妨害したこと。
 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。
2. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2800 各種便宜供与の廃止・拒否
K支部の組合事務所を正当な理由もなく使用禁止し、上部団体を集団的に脱退して新たに結成された別組合には、同組合はK支部が上部団体を脱退して結成されたものとして占有使用させた会社の行為は不当労働行為である。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
休憩時間中に平穏裡に行われたビラ配布は、何ら会社の業務の遂行を妨害した事実は認められないのであるから、同人のビラ配布を非難し、てん末書への署名を繰り返し求めたことが不利益取扱い及び支配介入にあたる。

2610 職制上の地位にある者の言動
2624 組合人事への干渉
会社課長がT支部書記長に上部団体の脱退賛成の立場に立つこと等依頼した言動が不当労働行為である。

2620 反組合的言動
3011 従業員教育
会社の行った研修会が労働力の資質の向上を目的としたものではなく、労働組合に対する批判意識を労働者に植えつけることを目的とするものであって、末端職制らを参加させ組合員を上部団体から脱退させようとして企図された不当労働行為である。

2901 組合無視
K支部書記長の組合用務出張願を従来の慣行を破り合理的な理由もなく認めなかったことが不当労働行為である。

2621 個別的示唆・説得・非難等
末端職制等に各職場の組合員の「政治地図」(会社の経営方針に対し、協力的か否かを分類したもの)及び「人脈図」(従業員の人間関係を分析したもの)を作成させたことが上部団体の脱退工作に利用するためになされた不当労働行為とされた。

2624 組合人事への干渉
T支部の役員選挙において会社職制が上部団体の脱退工作を行うためこれに介入し組合員X1を執行委員に当選させたことが不当労働行為である。

3106 その他の行為
3410 職制上の地位にある者の言動
会社職制に上部団体脱退のための臨時大会開催についての署名活動をさせたことが会社に預けている組合員らの印鑑を借り出していることから会社が介在したことは疑問の余地がなく、さらに「政治地図」、「人脈地図」を利用して上部団体脱退を画策したことがいずれも不当労働行為とされた例。

4823 上部団体
上部団体は間接的な当事者に過ぎず当事者適格を有しないと会社は主張するが、上部団体は個人加盟方式をとっている労働組合であり、組合は上部団体に加盟している組合員のうち、会社に勤務している者らが組織している労働組合であるから、組合の団結権に加えられた侵害行為について上部団体が不当労働行為救済申立てをなしうることは明らかである。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集65集478頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約579KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。