労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  松陸交通 
事件番号  三重地労委 昭和53年(不)第1号 
申立人  三重一般労働組合 
申立人  三重一般労働組合松陸タクシー分会 
被申立人  松陸交通 有限会社 
命令年月日  昭和54年 5月21日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  分会からの脱退者らによって別組合が結成されるに際して、分会員に対して脱退・別組合加入を勧誘して別組合の育成を図り、審問の証人として予定されていた分会員の出頭を妨げた事件で、ポスト・ノーティスを命じ、精神的、物質的損害補償として金銭の支払を求める部分は棄却し、組合及び分会申立てのうち、分会は本件審問終結時には分会員が皆無となっており、消滅したものとして、分会申立てについては却下した。 
命令主文  主     文
1. 被申立人松陸交通有限会社は、この命令を受けた日から1週間以内に、下記誓約文を縦2メートル、横1メートル(もしくは縦1メートル、横2メートル)の白色木板に明瞭に墨書し、会社の両出入口の見易い場所に毀損することなく、10日間これを掲示しなければならない。
 会社は、一部従業員の三重一般同盟松陸交通労働組合結成に加担し、三重一般労地組合松陸タクシー分会の分会員に分会からの脱退を勧めたり、三重一般同盟松陸交通労働組合への加入を勧め、これを育成、擁護し、また本件不当労働行為救済申立事件の審査のため、三重県地方労働委員会に証人として出頭を求められた三重一般労働組合松陸タクシー分会の分会員らに圧力を加える等の行為を行なった。
 これらの行為は、労働組合法に違反する不当労働行為であると三重県地方労働委員会で認定されました。
 よって、会社はこれらの行為を深く反省し、以後このようなことのないよう誓約します。
昭和 年 月 日
   三重一般労働組合
    執行委員長 X1 殿
松陸交通有限会社  
代表取締役 Y1
2. 申立人三重一般労働組合のその余の申立ては棄却する。
3. 申立人三重一般労働組合松陸タクシー分会の申立てはこれを却下する。 
判定の要旨  2500 別組合の結成・援助
別組合を結成し育成したことが別組合結成推進者と会社との共謀、内通のもとに行われた不当労働行為が成立する。

3300 不当労働行為とされた例
審問に証人として予定されていた分会員の出頭を妨げたことが不当労働行為である。

4611 P.Nの掲示の場所を配慮した例
謝罪文の日刊新聞紙上への掲載と駅、タクシー乗場等の公共施設への掲示の申立てが、会社の両出入口の掲示だけに止めるのが相当である。

4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
申立後分会員が皆無となり、その機能も停止している分会について、実質的には組織が消滅しているとして分会申立てが却下された。

4823 上部団体
分会員が全員退職した申立人分会の上部団体に対して、上部団体はその下部機関が受けた団結権侵害に対し救済の利益を有することは、理論上も、事例上も認められており、救済申立ての当事者適格が認められた。

5005 損害賠償の請求
精神的、物質的損害を補償する金銭の支払い申立ては、労働委員会の不当労働行為制度における審査権限になじまないと解せられるので、棄却する。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集65集411頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約533KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。