労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三菱重工業 
事件番号  神奈川地労委 昭和51年(不)第9号 
申立人  全日本造船機械労働組合 
申立人  全日本造船機械労働組合三菱重工支部 
申立人  全日本造船機械労働組合三菱重工支部横浜造船分会 外個人45 名 
被申立人  三菱重工業 株式会社 
命令年月日  昭和54年 5月 4日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含 む) 
重要度   
事件概要  申立人らに対する昇給、進級、昇格、成績査定について、別労組員と 差別した事件で、申立人46名中、44名に対して本給額の是正及びバックペイ(年5分の割合による金員の付加)、42名に対 して職群等級の是正及びバックペイ(年5分の割合による金員の付加)、44名に対する昇給、進級、昇格、成績査定の差別禁 止、及びポスト・ノーティスを命じ、申立人2名の申立ては棄却した。 
命令主文  1. 被申立人会社は、別表記載(編注、48頁)の申立人X1外 43名に対し、各人の本給を昭和50年 4月 1日にさかのぼって別表是正本給欄記載の本給額に是正するとともに以降の各昇給及び一時金支給に当っては、是正新本給を基礎とし、各人の賃金を再計算のうえ、その額とすで に支給した賃金及び一時金との差額相当額を支払わなければならない。
2. 被申立人会社は、別表記載の申立人X1外41名に対し、各人の職位を昭和50年 5月 1日にさかのぼって別表是正職群等級欄記載の職群等級に是正し、進級・昇給させるとともに、是正した職群等級に相当する職責手当及び職能給とすでに支給した職責手当及び職 能給との差額相当額を支払わなければならない。
3. 被申立人会社は、申立人X1外43名に対し、申立人分会員であることを理由に昇給・進級・昇格・成績査定において差別 してはならない。
4. 被申立人会社は、主文第1項及び第2項記載の差額に対して、支払われるべき日の翌日以降完済に至るまで、年5分相当額 を加算して支払わなければならない。
5. 被申立人会社は、申立人全造船・支部・分会に対して本命令交付の日から30日以内に下記の誓約書を手交し、かつ、縦 1.5メートル、横3メートルの白色木板いっぱいに墨書して、被申立人会社横浜造船所の正門及び本牧工場正門の見やすい場所 に毀損することなく一か月間掲示しなければならない。
誓  約  書
 当会社は、貴組合員に対し、昭和50年度の昇給・進級・昇格・成績査定において差別を行いましたが、これは労働組合法第7 条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると地方労働委員会より認定されました。よって、会社は、これらの行為により 貴労働組合の運営に支配介入したことを陳謝し、速かに現に生じている差別を是正し、未払いになっている差額相当額の支払いを するとともに以後再びこのような行為を貴組合員に対して行わないことを誓約します。
昭和 年 月 日
  全日本造船機械労働組合
   中央執行委員長 X2 殿
  全日本造船機械労働組合三菱重工支部
   中央執行委員長 X3 殿
  全日本造船機械労働組合三菱重工支部横浜造船分会
   執行委員長   X4 殿
三菱重工業株式会社
代表取締役 Y1
6. 申立人X5、x6の救済申立ては棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
申立人らは他の従業員と比較して平均水準の業務処理能力を有するものと認められるのに、会社における標準的本給及び職位と申 立人らの本給、職位には相当の格差が存在しており、格差を認めうるに足る合理的理由について会社の説明するところは納得でき ない。会社は分会及び分会員を嫌悪してきたところから、昇給、昇格の査定に当たり、分会員を不利益に取扱い、分会の弱体化を 企図したものである。

5121 挙証・採証
会社の賃金体系は年功的要素を全く否定したものとは認められず、組合が同一学歴、同期入社者を通常、条件、能力において同一 に評価されている者とみなして昇給・昇格の格差立証の比較対象者とすることはやむを得ない立証手段であるとし、同一職群、等 級の範囲内で比較すべきだとの会社の主張を斥けた。

5121 挙証・採証
昇給・昇格の組合間差別事件においては、申立人側が外形的格差の存在とこれに関する会社の不当労働行為意思の存在を疎明すれ ば、会社は格差が存在することの合理性を説明すべきである。会社は、格差の比較を自ら主張する同一職群同一等級の範囲内で行 うことに固執し、委員会の求める格差比較の資料提出を拒んだ。分会員と別組合組合員の比較がなされていない以上差別をしな かったことの論証にはならない。

4419 現存格差を一挙に是正した例
昇給、進級期において年々累積されている差別がある場合、これを将来に向って解消することは不当労働行為制度の本旨にかな う。

5200 除斥期間
本給決定措置行為は、1年後の賃金支払行為によって一つの行為を終了することになるので、それ以前になされた本件救済申立て は申立期間に抵触する問題を生ずる余地がない。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集65集355頁 
評釈等情報   

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