概要情報
事件名 |
八代学院 |
事件番号 |
兵庫地労委 昭和52年(不)第7号
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申立人 |
八代学院大学教職員組合 |
被申立人 |
学校法人 八代学院 |
命令年月日 |
昭和54年 4月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
学長人事及び学科増設、教員増員、学生募集定数等に関する教学・財政方針について団交を拒否したこと、教授定年制の実施について該当教授と個別交渉せず組合との団交を通じて話し合うべきであるとの組合要求を無視したこと、団交議事録の確認、諸要求に対する文書回答を拒否したこと、組合員であるチャプレン(学校付司祭)兼教員の給与決定方法について団交に応ぜず、チャプレンが組合員であることを非難したこと等が争われた事件で、学長人事を除く教学・財政方針についての団交応諾及び定年とチャプレンの問題についてのポスト・ノーティスを命じ、団交議事録の確認、諸要求に対する文書回答については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人学院は、申立人組合が昭和52年6月9日付要求書で申し入れた事項のうち、第4項の教学・財政に関する方針(その内容は、昭和52年5月16日付質問状〔2〕の第1項、第2項)を議題として、直ちに誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 2 被申立人学院は、本命令書交付の翌日から、ひきつづき10日間、次の誓約書を縦1メートル、横 1.5メートル大の木版に墨書し、大学正門及び通用門の見易い個所に掲示しなければならない。
誓 約 書
学院が、昭和52年6月16日の団体交渉において、下記(1)の発言をして組合の団体交渉権を無視する態度を示したことは、労働組合法第7条第3号に、同じく(2)の発言をして誠実に団体交渉を行わなかったことは、同法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると兵庫県地方労働委員会によって判断されました。
よって学院は、ここにその非を認めるとともに、今後かかる行為を繰り返さないことを誓約します。
記
(1) X2ら4教授の定年に伴う特任教授問題等の経緯にかんがみ、団体交渉中は組合の承認なくして個別交渉してはならないとの組合の申し入れに対して、「今後も個別交渉をする」と発言して、組合の団体交渉権を無視する態度を示したこと。 (2) X3チャプレンの給与是正問題に関して、「チャプレンが組合に加入していること自体が問題である」、「植村チャプレンから直接改善要求があれば、考えてもよい」と発言し、誠実に団体交渉に応じなかったこと。
昭和 年 月 日
八代学院大学教職員組合
執行委員長 X1 殿
学校法人 八代学院
理事長 Y1
3 申立人のその余の申立は、棄却する。 |
判定の要旨 |
2304 経営事項
学長の不信任決議が団交の議題となるためには、学長が組合の労働条件の維持向上に関与または努力したか、学長人事そのものが労働条件を直ちに左右する等、特段の事情が存する場合に限られるところ、かかる事情のない本件においては団交の議題とはなり得ないものと判断される。
2235 その他組合の態度
団交の事前に文書回答を行うこと及び団交の都度、議事録の作成・確認を求める組合要求も、労働協約もしくは慣行がないとして拒否したとしても団交拒否に当らないとされた例。
2249 その他使用者の態度
2621 個別的示唆・説得・非難等
チャプレン(学校付司祭)の組合加入を非難して団交に十分応じなかったことは組合脱退を勧奨したものということはできないが、不誠実な団交と支配介入にあたるとされた例。
2304 経営事項
教学問題、財政経営問題は理事会の所管であるとして、学院が団交拒否したことが不当労働行為とされた例。
2301 人事事項
3700 使用者の認識・嫌悪
定年制の実施につき、定年該当者に対する個別交渉を止めるようにとの組合要求に対し、反発的な言辞を行ったことが支配介入にあたるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集65集299頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1980年5月10日 999号 79頁 
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