概要情報
事件名 |
東京三協信用金庫 |
事件番号 |
東京地労委 昭和49年(不)第60号
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申立人 |
東京三協信用金庫労働組合 |
被申立人 |
東京三協信用金庫 |
命令年月日 |
昭和54年 4月 3日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
組合が分裂し、別組合が結成された後、金庫が申立人組合の組合員に対する昇格、昇進、昇給について、別組合員や非組合員と差別した事件で、申立組合員10名に対する昇格差別の是正、同組合員8名に対する係長または係長相当職への昇進、同組合員10名に対する昇給額是正及びバックペイ、ポスト・ノーティスを命じ、審問終結前に退職した組合員2名の申立てについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人東京三協信用金庫は、申立人東京三協信用金庫労働組合所属の下記組合員に対して、次の措置を講じなければならない。 (1) X1、X2、X3及びX4を昭和47年4月1日付で、X5、X6、X7及びX8を昭和48年4月1日付でそれぞれ5等級に昇格させなければならない。 (2) X9を昭和47年4月1日付で、X10を昭和49年4月1日付でそれぞれ6等級に昇格させなければならない。 (3) X1、X2、X3及びX4を昭和47年4月1日付で、X5、X6、X7及びX8を昭和48年4月1日付でそれぞれ係長または係長相当職に昇進させなければならない。 (4) X1、X2、X3、X4、X9及びX10の昭和46年度から昭和48年度までの、X5、X6、X7及びX8の昭和47年度及び昭和48年度の決定評語をそれぞれAとして昇給額を是正し、その間、同人らがすでに支給された給料及び一時金との差額を支払わなければならない。 2 被申立人金庫は、本命令受領の日から1週間以内に55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に下記の内容を楷書で明瞭に墨書し、本店及び各支店の食堂の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
記
昭和 年 月 日
東京三協信用金庫労働組合
執行委員長 X10 殿
東京三協信用金庫
理事長 Y1
当金庫の下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
記
(1) 貴組合の組合員X1氏、X2氏、X3氏及びX4氏を昭和47年4月1日付で、X5氏、X6氏、X7氏及びX8氏を昭和48年4月1日付でそれぞれ5等級に昇格させなかったこと。 (2) X9氏を昭和47年4月1日付で、X10氏を昭和49年4月1日付でそれぞれ6等級に昇格させなかったこと。 (3) X1氏、X2氏、X3氏及びX4氏を昭和47年4月1日付で、X5氏、X6氏、X7氏及びX8氏を昭和48年4月1日付でそれぞれ係長に昇進させなかったこと。 (4) X1氏ら10名に対し、不利益な決定評語を与えることにより、昇給、一時金についての差別を行ったこと。 (注、年・月・日は掲示した日を記載すること。) 3 被申立人は、前各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 4 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5201 継続する行為
組合の活動を嫌悪し、かつ組合員を差別する意図のもとに毎年度の昇格、昇進、昇給の決定に当たり、差別を繰り返していると認めるに足る具体的徴表が顕在化している本件においては、これについて金庫の不当労働行為意思が一貫して、不断に存在しており、それら各年度の各個の行為は連続して一体をなして、本件申立て当時にいたっているものと判断することができる。
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
組合員が低い評価を与えられた理由は、組合員の勤務成績を適正に評価した結果に基づくものとは認められず、金庫の組合に対する態度からみて組合員であることを理由とする不当労働行為とされた例。
4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
審問終結前に退職した2名の昇格を求める救済申立てが棄却された例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集65集269頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1979年10月10日 985号 72頁 
労働経済判例速報 昭和54年10月30日 1027号(30巻28号) 22頁 
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