概要情報
事件名 |
コシナ |
事件番号 |
長野地労委 昭和52年(不)第6号
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申立人 |
コシナ労働組合 |
被申立人 |
株式会社 コシナ |
命令年月日 |
昭和54年 3月20日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
和解により主任相当職に復帰した申立組合員の役職手当を他の主任よりも低額支給したこと、チェックオフ協定を別組合とは締結しながら申立組合との締結を拒否したこと、賃上げ実施に当たり申立組合員5名について考課分を低く査定したことが争われた事件で、役職手当額の是正と差額支給、チェックオフの別組合との差別扱いの禁止、申立組合員2名の賃上げ是正と差額支給、これらについてのポスト・ノーティス及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、昭和50年7月以降の役職手当の額を10,000円に是正するとともに、この是正によって生じた差額を支払わなければならない。 2 被申立人は、組合費のチェック・オフに関し、申立人を申立外全コシナ関連労働組合と差別することなく取り扱わなければならない。 3 被申立人は、申立人組合員X2及び同X3に対し、昭和51年4月賃上げ額を基本給に 0.085を乗じて得た額に是正し、昭和51年4月以降の賃金及び一時金について、この是正によって生じた差額を支払わなければならない。 4 被申立人は、下記誓約書を申立人に手交するとともに、同文を縦1メートル、横 1.5メートルの木版に墨書して、被申立人本社工場正門付近の従業員の見やすい場所に、7日間掲示しなければならない。
記
誓 約 書
当社は、貴組合に対し、組合費のチェック・オフについて、全コシナ関連労働組合との間に差別扱いを行ってきました。 また、貴組合の組合員X1に対し、昭和50年7月以降、役職手当を差別支給しており、更に、貴組合の組合員と全コシナ関連労働組合の組合員との間に、昭和51年4月賃上げについて差別扱いをしました。 これらの行為は、不当労働行為でありますから、今後このような行為を繰り返さないことを、長野県地方労働委員会の命令により誓約いたします。
昭和 年 月 日
コシナ労働組合
執行委員長 X4 殿
株式会社 コシナ
代表取締役 Y1
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判定の要旨 |
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
2901 組合無視
別労組とは、無条件で組合費のチェックオフ協定を締結しており、申立組合とは、チェックオフ協定解約後も寮の寝具使用料、給食費等会社が必要とするものについては、引続きチェックオフしている事情のもとで、20名前後の少人数の組合の組合費をチェックオフすることは、会社にとって過大な負担になるものとは思われないことなどから考えると、総合的な労働協約の締結に固執して、組合に対し組合費のチェックオフを拒否している会社の態度は首肯できない。
5121 挙証・採証
2組合が併存する企業において、両組合間に賃上げにおける格差が存在する場合、使用者は、それについて不当な差別ではなく、マイナス査定された者にはそれなりの理由があり、考課が公平なものであると主張すれば、使用者がマイナス査定された組合員の考課の内容及び結果について明らかにすることはもちろんのこと、組合員と別組合員とを比較対照して組合員に対する考課の内容及び結果が不当差別でないことを疎明しない以上、これらの証明ができたとはいえない。
5201 継続する行為
X1に対する役職手当の差別支給行為は、50年7月以降毎月役職手当の差別支給を繰り返しているものであって、全体として一個の行為であり、「継続する行為」と解する。
1201 支払い遅延・給付差別
和解によって復職した組合員X1に対し、役職手当を他の主任より低額支給したことが不当労働行為とされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
申立組合の組合員を別組合員と比較して差別して賃上げを行ったことが不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
精密機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集65集245頁 |
評釈等情報 |
 
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