労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ヒロセ電機 
事件番号  東京地労委 昭和53年(不)第6号 
申立人  全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部ヒロセ電機分会 奥山 志郎、他1名 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部 
申立人  全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部 
被申立人  ヒロセ電機 株式会社 
命令年月日  昭和54年 2月20日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  51、52年度昇給・一時金の交渉において生産性向上並びに合理化に全面的に協力すること等の前提条件を付し、これに同意しない組合員に対して昇給・一時金を決定・支給せず、他の従業員と差別した事件で、組合員に対する51年度及び52年度の昇給・一時金を他の従業員と同様に実施・支給すること及びポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人ヒロセ電機株式会社は、申立人X1および同X2の両名に対し、昭和51年度昇給、同年度夏期・冬期一時金の支給並びに昭和52年度昇給、同年度夏期一時金の支給について、被申立人会社における他の従業員と同様、直ちにこれを実施しなければならない。その際、被申立人会社は下記の事項を遵守しなければならない。
(1) 被申立人会社が、申立人全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部ヒロセ電機分会に対して行なった昭和51年5月13日付、同年9月22日付、同年12月2日付、昭和52年5月19日付および同年7月5日付回答のうち「昇給率、支給率および査定配分」に関すること以外の前提条件は存在しないものとして取扱うこと。
(2) 前項の査定部分を実施するときは、申立人X1、同X2の両名が申立人組合に所属していることもしくは両名が正当な組合活動を行なったことを評価の対象としてはならないこと。
(3) 両名に対する昭和51年度昇給は昭和51年5月から、同じく昭和52年度昇給は昭和52年5月から実施すること。
2 被申立人会社は、本命令書受領後1週間以内に55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記のとおり楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員の見易い場所に10日間提示しなければならない。
昭和  年  月  日
 日本労働組合総評議会全国金属労働組合東京地方本部
  執行委員長   X3 殿
 全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部
  執行委員長   X4 殿
 全国金属労働組合東京地方本部品川地域支部ヒロセ電機分会
  分会執行委員長 X1 殿
ヒロセ電機株式会社 
代表取締役 Y1
 当社が、貴組合員X1および同X2両氏に対し、昭和51年度昇給、同年度夏期・冬期一時金および昭和52年度昇給、同年度夏期一時金について、貴組合所属の組合員以外の従業員と差別し、これを実施しないことは不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。今後、同種の行為を繰り返さないよう留意します。
 (注、年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
3700 使用者の認識・嫌悪
当委員会はすでに、会社が50年度の臨時昇給について付した前提条件を固執することは不当労働行為に当るとの救済命令を発しており、これに対し会社は依然として態度を改めず、相変らず同旨の不合理な前提条件を固執し続けている。このことは結局申立人組合がこれら前提条件に同意しないことに藉口して、既に他の従業員に対し、昇給および一時金を実施しながら、申立人組合員X1、X2に対してこれを遅らせることにより、経済的打撃を与え、ひいては申立人組合を壊滅することを意図したものと判断せざるを得ない。

1201 支払い遅延・給付差別
2244 特定条件の固執
昇給の「妥結月実施」が慣行となっているとしても昇給問題の解決を組合が故意に遅らせているとも認められず、むしろ、会社が不合理な前提条件を固執し続けているために妥結が遅れているものと認められることからすれば、会社が「妥結月実施」に固執していること自体不当労働行為である。

4407 バックペイの支払い方法
前提条件固執及び「妥結月実施」による51・52年度昇給の差別是正については、前提条件は存在しないものとした上でその実施時期も他の従業員と同様、51年5月度、52年5月度に、それぞれ遡って命ずることが妥当であるとされた例。

5124 その他の審査手続
組合の最終陳述書における「請求する救済内容」の変更申立てが認められないとされた例。

5200 除斥期間
本件51年度の昇給、夏季・冬季一時金についてはその決定が引きのばされていること自体が不当労働行為であって、いわゆる「除斥期間」の問題ではないとして、会社の1年以上を経過しているから救済の対象となし得ないとする主張が付けられた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集65集143頁 
評釈等情報   

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