事件名 |
村上開明堂 |
事件番号 |
静岡地労委 昭和50年(不)第1号
|
申立人 |
全国金属労働組合村上開明堂支部 |
被申立人 |
株式会社 村上開明堂 |
命令年月日 |
昭和54年 2月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
年末一時金の交渉において、組合との団交を別組合より毎回1日遅れて実施したこと、交渉期日の設定そのものを別組合と差別して遅らせたこと、及び同一時金の支給に当り、組合員の考課配分部分を別組合員や非組合員より低く査定したことが争われた事件で、申立人組合員の基本給に平均妥結月数を乗じて得た額を下回らないよう再査定して差額分を支給すること、及び交渉期日の設定日の差別、一時金差別について文書手交を命じ、1日遅れの団交実施、ポスト・ノーティス等については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人の別表記載の組合員に対して、昭和49年年末一時金の考課分として、各人の基本給に平均妥結月数(0.64カ月)を乗じて得た別表記載の額を下回らないよう再査定して、その差額分を支払わなければならない。 2 被申立人は、本命令書交付の日から7日以内に下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記 当社が行った下記の行為は、貴組合に対する支配介入であり、貴組合員に対する不利益取扱いであるとして静岡県地方労働委員会において認定されました。 当社といたしましては、深く遺憾の意を表するとともに、今後このような行為を再びくり返すことのないよう十分留意します。
記(1) 昭和49年年末一時金の団体交渉開催日を設定するにあたり、村上開明堂労働組合との間に設定しておきながら、貴組合の要求に対して誠意をもって設定に応じていなかったこと。 (2) 昭和49年年末一時金支給に際し、貴組合組合員の考課分として、正当な理由なく平均を下回るよう査定し、不利益な取扱いをしたこと。 この文書は、同地方労働委員会の命令により手交するものであります。
昭和 年 月 日
全国金属労働組合村上開明堂支部
執行委員長 X1 殿
株式会社 村上開明堂
代表取締役 Y1
3 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2901 組合無視
団交期日の設定そのものが遅れたことについて合理的理由がないのみならず、別労組との間では、団交期日の設定を概ね申入れとの間に時間を置かず行っているのに対し、組合に対しては、組合が団交期日の設定を毎回強く要求しても実現しない会社の態度に抗議し、早期設定を求めて指名ストを実施したにもかかわらず、なお団交期日の設定そのものを遅らせたという事情等を併せ考えれば、会社の態度は別労組に比しことさら組合を軽視するものといわざるを得ず、支配介入に該当する。
1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
年末一時金の支給にあたり、組合員に対して考課査定の平均額を下回る額を支給したことが不当労働行為とされた例。
2901 組合無視
団交の開催が毎回別組合より1日遅れたとしても物理的な事情等による必然的な結果であり、差別扱いではないとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
一時金の差別支給の救済方法として、組合員各人について、基本給に平均妥結月数を乗じて得た額を下回らないよう再査定のうえ、その差額分の支払いを命じた例。
5121 挙証・採証
年末一時金について組合員を平均以下に査定した合理的理由の具体的主張立証もなく、労委の再三の求釈明にも応じない以上、人事考課を公正に行ったとする会社の主張は採用できないとされた例。
|
業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集65集90頁 |
評釈等情報 |
|