概要情報
事件名 |
飯田橋教育センター |
事件番号 |
東京地労委 昭和51年(不)第53号
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申立人 |
総評全国一般労働組合東京地方本部飯田橋教育センター労働組合 |
被申立人 |
株式会社 飯田橋教育センター 清算人(元代表取締役)Y1 株式会社 飯田橋ビル |
被申立人 |
株式会社 学際教育センター |
命令年月日 |
昭和53年12月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、旧社を解散し組合員全員を解雇して、同一営業内容を目的とする新社を設立したが、組合員を採用しなかったことが争われた事件で、組合は、新・旧両者のほかに旧社の株主であったIビル社をも被申立人として救済の申立てをしたが、新社に対し原職相当職の復帰、新旧両者連帯によるバックペイ及び新・旧両社共同による文書の交付を命じ、Iビル社に対する申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社学際教育センターは、申立人組合の組合員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9に対してつぎの措置を含め、被申立人株式会社飯田橋教育センターによる同人らの解雇がなかったと同様に取り扱わなければならない。 (1) 同人らを被申立人株式会社飯田橋教育センターにおける原職に相当する業務に、昭和51年6月14日に遡って就いたものとすること。この場合、すでに当時雇用した従業員と労働条件は同様であること。 (2) 同人らが、昭和51年5月20日から被申立人株式会社学際教育センターにおいて現実に就労するまでの間に受けとるはずであった賃金相当額を支払うこと。 2 被申立人株式会社飯田橋教育センターは、前項の組合員9名に対し、前項(2)により被申立人株式会社学際教育センターが支払うべき金員につき連帯して、これを支払わなければならない。 3 被申立人上記両社は、本命令書受領の日から1週間以内に共同して下記の文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 総評全国一般労働組合東京地方本部 飯田橋教育センター労働組合 執行委員長 X1 殿 株式会社飯田橋教育センター 清算人(元代表取締役)Y1 株式会社学際教育センター 代表取締役 Y2 株式会社飯田橋教育センターが、貴組合の組合員X1氏ほか8名を解雇したことならびに株式会社学際教育センターが同組合員らを従業員として取り扱わなかったことは、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。 当社らは、今後このような行為を繰り返さないよう留意いたします。(注:年月日は交付した日を記載すること。) 4 被申立人上記両者は、前項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 5 被申立人株式会社飯田橋ビルに対する申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
新社は、旧社と同一の立場にたつものであり、旧社の解雇の救済としては、新社に対しては、申立人組合員らを旧社の解雇がなかったと同様これを従業員として、当時雇用した従業員と同様の労働条件で取り扱うこと、新旧両者に対しては、連帯によるバックペイおよび共同の文書の交付を命ずるのが妥当であり、バックペイにあたっては、受領済の解雇予告手当名儀の金員を控除することが当然であり、ポスト・ノーティスは、それまでの必要がないと思料する。
4405 バックペイから他収入控除
解雇以来の多少の中間収入については、いずれもいわゆるアルバイトの類であり、本件不当労働行為の態様、申立人組合員らのこうむった苦痛等に照らし、バックペイからの中間収入の控除は相当でない。
4910 事業廃止に伴う新経営者
新社は代表者こそ変更したものの、その実質において旧社を承継したもので、労使関係においても旧社の地位を継承した立場にあり、旧社の負う不当労働行為解消の責任は、新社もまたこれを免れることはできない。
1800 会社解散・事業閉鎖
会社の解散が、組合員のみを排除して教室の再開・企業の維持を企図した不当労働行為とされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
旧社に施設を貸与していたIビル社の被申立人適格が否定された例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集64集620頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1979年4月15日 314号 71頁 
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