労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三菱重工業 
事件番号  長崎地労委 昭和51年(不)第6号 
申立人  三菱重工長崎造船労働組合 
申立人  執行委員 X1 
被申立人  三菱重工業 株式会社 
命令年月日  昭和53年12月14日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、申立人組合の組合員X1の進級昇格等について、別組合の組合員と差別したことが争われた事件で、申立人組合員X1の職群等級・昇給・成績系数の遡及是正、バックペイ(年6分相当額の加算を含む)、将来にわたる差別の禁止、文書手交、ポスト・ノーティス及び申立人組合員34名の格差の存否の検討・是正を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1の職群等級を昭和48年5月1日にさかのぼって事務技術職群4級に是正しなければならない。
2 被申立人は、X1の昭和49年4月1日付実施の昇給額を 2,200円及び昭和50年4月1日付実施の昇給額を 2,200円にそれぞれ同日付で是正しなければならない。
3 被申立人は、X1の成績系数について、毎月支払われる賃金においては昭和48年6月支払い分から、年2回支払われる一時金においては昭和49年年末支払い分から、それぞれ平均の 1.0にしなければならない。
4 被申立人は、X1に対し、上記是正を行ったことによって、同人が受けるはずであった差額相当額(各支払金に対する年6分の割合による利息相当額を含む。)を支払わなければならない。
5 被申立人は、X1に対し、今後、申立人組合員であることを理由に進級・昇給について差別をしてはならない。
6 被申立人は、申立人組合に対し、下記内容の陳謝文を手交するとともに、同内容の文書を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの白紙に墨書し、長崎造船所の各出入門の掲示板に1週間掲示しなければならない。
              記
                    昭和 年 月 日
  三菱重工長崎造船労働組合
   執行委員長 X2 殿
            三菱重工業株式会社
               取締役社長 Y1
             陳  謝  文
 会社が貴組合員X1の進級を遅らせ、昇給を低く査定するなどして差別したことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後、このようなことは一切しないことを誓約します。
 この旨、長崎県労働委員会の命令によって表明します。
7 被申立人は、申立人組合員(上記X1を除く。)の昇進・昇給について、申立人組合以外の組合員の昇進・昇給の実態と比較して、格差の存否を検討し、その結果格差があれば是正しなければならない。 
判定の要旨  5201 継続する行為
会社がX1の申立人組合加入と活発な組合活動を嫌悪し、積年にわたって進級、昇給、月例賃金及び一時金について不利益扱いをなし、かつ、日常業務及び出張業務についても差別待遇を行い、更には親睦会からの排除を黙認するなど、終始一貫して同一の不当労働行為意思をもって、上記一連の行為を継続してきたことは、包括した1個の不当労働行為を構成するものであるから、いわゆる労組法27条第2項の継続する行為に当ると判断する。

1202 考課査定による差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
別労組を脱退し、申立人組合へ加入したX1の進級、昇給、月例賃金及び一時金などの能力考課及び成績評価を低く評価したことが、他の従業員へのみせしめのためになした報復的措置であるとして支配介入とされた例。

1302 就業上の差別
別労組を脱退し、申立人組合へ加入したX1の日常業務及び出張業務を大幅に削減したことが、他の従業員へのみせしめのためになした報復的措置であるとして支配介入とされた例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集64集602頁 
評釈等情報   

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