労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三菱重工業 
事件番号  長崎地労委 昭和50年(不)第3号 
申立人  全日本造船機械労働組合三菱重工支部長崎造船分会 
被申立人  三菱重工業 株式会社 
命令年月日  昭和53年12月14日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、分会員の昇進昇給についての考課査定を別組合員より低く押えたこと、中堅社員教育に、分会員を受講させなかったこと、作業班編成に当り、分会員を同一班に集めたこと及び作業班の末端職制が、私事へ干渉し、分会員をボイコットしたことが争われた事件で、支配介入の禁止、申立人組合員348名についての職群等級及び本給の別組合員分布実態に比例した是正、バックペイ(年6分相当額の加算を含む)、文書手交及びポスト・ノーティスを命じ、組合員Hについての救済申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員であることを理由に、昇進・昇給・社員教育・作業班の編成等について差別を行い、かつ、社員間の自由な親睦を妨げたりして、申立人の組合運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、別紙1記載の申立人組合員299名に対し、昭和49年5月1日現在の全日本労働総同盟全国造船重機械労働組合連合会三菱重工労働組合長崎造船支部(以下「重工労組」という。)の組合員のすべての職群等級の分布実態に比例して職群等級を上記日付で是正し、かつ、是正後の職群等級における重工労組員の本給の分布実態に比例して本給を同日付で是正を行った上、上記 299名が受けるはずであった差額相当額(各支払金に対する年6分の割合による利息相当額を含む。)を計算して、支払わなければならない。
3 被申立人は、別紙2記載の申立人組合員であった33名に対し、昭和49年5月1日現在の重工労組員のすべての職群等級の分布実態に比例して職群等級を上記日付で是正し、かつ、是正後の職群等級における重工労組員の本給の分布実態に比例して本給を同日付で是正を行った上、上記33名が受けるはずであった退職時までの差額相当額(各支払金に対する年6分の割合による利息相当額を含む。)を計算して、支払わなければならない。ただし、死亡退職者6名については同人の相続人に対して支払わなければならない。
4 被申立人は、別紙3記載の申立人組合員16名に対し、昭和49年5月1日現在の上記16名が属する各職群等級における重工労組員の本給の分布実態に比例して本給を上記日付で是正を行い、上記16名が受けるはずであった差額相当額(各支払金に対する年6分の割合による利息相当額を含む。)を計算して、支払わなければならない。
5 被申立人は、申立人に対し下記内容の陳謝文を手交するとともに、同内容の文書を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの白紙に墨書し、長崎造船所の各出入門の掲示板に1週間掲示しなければならない。
                記
                    昭和 年 月 日
  全日本造船機械労働組合
   三菱重工支部長崎造船分会
    執行委員長 X1 殿
             三菱重工業株式会社
               取締役社長 Y1
             陳  謝  文
 当社が、貴組合員の昇進・昇給・社員教育・作業班の編成等について差別を行い、かつ、社員間の自由な親睦を妨げたりして、貴組合に支配介入したことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後、このようなことは一切しないことを誓約します。
 この旨、長崎県地方労働委員会の命令によって表明します。
6 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
5121 挙証・採証
会社の賃金格差存在の合理性の立証が、分会員と別労組員との比較による考課査定の立証が全くなされていないので、その理由づけに合理性を認められないとされ職群等級の査定が不当労働行為とされた例。

1202 考課査定による差別
本給について、分会員を別労組員と査定差別したことが不当労働行為とされた例。

3011 従業員教育
中堅社員教育について分会員を1名も受講させなかったことが差別扱いとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
末端職制が会社業務を遂行するなかで行った分会員の私事についての言動が会社の介入行為とされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、分会を意識して分会員を同一班に集めたことが、分会への不当な介入とされた例。

3700 使用者の認識・嫌悪
申立人分会を脱退し、別組合に加入した者が昇進していることから会社の組合間の差別取扱意思の存在が推認された例。

4419 現存格差を一挙に是正した例
審問終結時までに退職した者についても、救済の対象に含め、職群等級の是正及び本給の是正を行い差額支払いを命じた例。

4408 バックペイが認められなかった例
昭和49年5月1日現在の職群等級及び本給の是正について、昭和49年9月分会に加入したX2は、救済の対象とはならないとされた例。

5008 その他
会社の規則上はありえない飛びこし昇進を内容とする救済命令を発することは、労委の裁量の範囲に属するとされた例。

5200 除斥期間
請求する救済の内容を変更する申立てが、単に救済内容の拡張にすぎないとして除斥期間に該当しないとされた例。

業種・規模  一般機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集64集520頁 
評釈等情報   

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