概要情報
事件名 |
ニッシンシルク |
事件番号 |
熊本地労委 昭和51年(不)第7号
|
申立人 |
総評全国一般労働組合熊本地方本部 |
被申立人 |
ニッシンシルク 株式会社 |
命令年月日 |
昭和53年10月31日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、職制を通じて、従業員に対して組合加入を妨害し、併せて、別組合への加入を勧奨したこと、賃上げ等に当たり、会社案を一方的に押し付けたこと及び組合副分会長の配転及びその撤回に関する団交申入れを拒否したことが争われた事件で、ポスト・ノーティスを命じ、会社案の一方的押付け、配転及び団交拒否については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、本命令書交付の日から7日以内に下記の陳謝文を縦 0.8メートル、横 1.2メートルの板に墨書し、これを被申立人会社構内の県道に面した見やすい場所に7日間掲示しなければならない。 記 陳 謝 文 会社は、昭和50年4月、会社従業員の一部が貴組合に加入し、分会を結成すると、他の会社従業員に対して同盟系の労働組合に加入するよう勧誘するとともに、貴組合に加入しないよう説得いたしました。 上記の行為は、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であり、今後はかかる不当労働行為をなさないことを誓約し、ここに深く陳謝いたします。 昭和 年 月 日 ニッシンシルク株式会社 代表取締役 Y1 総評全国一般労働組合熊本地方本部 執行局員 X1 殿 2 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2246 併存団体との関係
組合併存下において、会社は、両組合との団体交渉で基本的には同時交渉、同時回答の姿勢を堅持していることが認められることからすれば、第3回交渉において会社が、第2次回答を提示することともに、すでに別労組と妥結しているので譲れないと主張したことをもって、ただちに支配介入行為であるとの組合主張は採り得ない。
3900 「不利益の範囲」
本件X2の配置転換は、昼間勤務の機械保全等の作業から夜間勤務の守衛への配置転換であるところから、賃金が同一であっても、本人が希望している場合などを除き、その勤務時間、勤務条件等の著しい変化により本人の生活関係も少なからぬ影響があり、不利益となることは一般に否定し得ないものといわなければならない。
1300 転勤・配転
組合副分会長X2の配転は、会社が不況のおりから定年退職する守衛の後任者を、X2の同意を得て、守衛として勤務するよう命じたもので不利益扱いではないとされた例。
2301 人事事項
会社が団交において、組合副分会長X2の配転撤回に応じなかったことが、団交拒否にあたらないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
会社部長補佐が、従業員X3及びX4に対し、申立人組合へ加入しないよう説得し、別組合へ加入するよう勧奨した行為は、会社の意思に基づく行為であって支配介入であるとされた例。
2620 反組合的言動
会社が掲示した内容は、別労組との妥結内容並びに組合の要求及び会社回答を掲示したものであって、これをもって不当労働行為というにはあたらないとされた例。
|
業種・規模 |
繊維工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集64集391頁 |
評釈等情報 |
 
|