概要情報
事件名 |
第一フクウン・福岡運輸 |
事件番号 |
福岡地労委 昭和50年(不)第48号
|
申立人 |
全日本運輸一般労働組合博多地域支部 |
被申立人 |
株式会社 福岡トラック |
被申立人 |
福岡運輸 株式会社 |
命令年月日 |
昭和53年10月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
元請会社が、下請会社を通じて、下請会社の組合員の腕章着用・ビラ配布等につき注意を与えたこと、更に下請会社への発注を取りやめる等して下請会社に事業所閉鎖せしめるに至ったこと、下請会社の事業所閉鎖による解雇問題等についての団交を拒否したことが争われた事件で、元請会社への原職又は原職相当職への復帰及びバック・ペイ、ポストノーティスを命じ、元請会社による団交拒否に関する申立てと下請会社が事業所閉鎖後その株式譲渡を受けて設立された新会社への申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人福岡運輸株式会社は、申立人組合第一フクウン分会の組合員X1、同X2に対する昭和50年9月3日付解雇を撤回し、同社の原職又は原職相当職に復帰させるとともに、解雇の翌日以降、復帰させるまでの間の賃金を支払わなければならない。 2 被申立人福岡運輸株式会社は、本命令交付の日から1週間以内に、下記陳謝文を縦1メートル、横2メートルの白紙に明瞭に墨書して会社正門前の見易い場所に、1週間掲示しなければならない。 記 全日本運輸一般労働組合博多地域支部 執行委員長 X3 殿 福岡運輸株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合の腕章着用等の戦術に介入し、また、株式会社第一フクウンの業務を停止して昭和50年9月3日付で貴組合の組合員、X1、同X2の両名を解雇したことは、福岡県地方労働委員会の命令により、不当労働行為であると判断されましたので、貴組合に対し遺憾の意を表すとともに、上記両名の解雇を撤回して、当社に原職復帰させます。 昭和 年 月 日 3 株式会社福岡トラックを被申立人とする申立て及び福岡運輸株式会社に対するその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
D社の設立発起人には、F運輸労組元委員長であったY2、同じく元書記長であったY3及びF運輸社長Y1社長以下5名の役員が名前を連らねていること、また設立の目的がF運輸の一般車部門をD社によって肩替わりさせることにあったこと、従って陸運局における運送免許取得のための聴問にはF運輸のY1社長及びTグループ系列会社幹部が利害関係人として出席して賛成意見を陳述したこと、さらに、D社の代表取締役にはY4及びY5が就任し、取締役にF運輸のY6専務、監査役に同社Y7経理部長が名前を連らねていること等、資本面、役員構成、日常的営業面その他あらゆる側面においてF運輸が深く関与している事実からみてD社はF運輸と何ら関係ないとする被申立人の主張は容認し難い。
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
D社が事務所を閉鎖し、分会員を解雇したことは、元請会社F運輸がD社の分会の結成ないしその後の組合活動を嫌い、これを潰滅させる意図のもとに、F運輸自体の労務政策として行った不当労働行為であるとされた例。
2242 回答なし
元請会社F運輸が、D社分会の団交要求を拒否したことは、F運輸の労務政策の延長上に出たものとして不当労働行為とされた例。
3020 組合活動への制約
夏期一時金等の要求に関し、腕章着用、ビラ貼付等の活動を行ったことに対し、D社が組合に対しこれらの戦術の中止を求め、また元請会社F社がD社に対する発注を停止する等、両社の行為がF運輸とD社が同一の利害にたち、意思を同一にする立場から一体となってなした介入行為であるとされた例。
4905 経営補助者
D社はF運輸の一営業部門に過ぎず独立した事業体たるの実態を保有しておらず、その元請会社F社が被解雇者である分会員2名の実質的な雇用主であるとされた例。
4908 営業譲渡後の譲受人
D社は、全株が譲渡されてFトラックとなり元請会社F運輸の一営業部門たる立場を離れ別個独立の法人となったことから、被解雇者である分会員2名の原状回復措置として、Fトラックへ原職復帰させることは当を得ないとされた例。
|
業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集64集379頁 |
評釈等情報 |
 
|