概要情報
事件名 |
日本硝子 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和49年(不)第11号-1
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申立人 |
全日本硝子製壜労働組合 |
被申立人 |
日本硝子 株式会社 |
命令年月日 |
昭和53年 9月14日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合から多数の者が脱退して別組合に加入した直後の48年賃上げにおいて、申立組合員について別組合員よりも低い考課査定をしたこと、賃上げ実施内容を、従来は両組合に夫々全従業員の本給通知を行っていたのに、48年賃上げに際しては、組合別に当該組合所属の組合員の本給のみを通知したこと等が争われた事件で48年賃上げ時の職群別昇給額の是正、それに伴う差額のバックペイ、誓約文書の手交を命じ、脱退者を会社派と評価し、複合差別であるとする申立等については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、日本硝子尼崎労働組合の組合員に対して、昭和48年賃上げにおける職群別昇給額を、専門監督職Cに属する者については 300円、技能一般職Aに属する者については 200円、同Bに属する者については 100円、それぞれ増額是正するとともに、昭和48年4月以降の賃金差額(時間外労働手当及び夏季・年末一時金の職群別昇給額増額に伴う増額分を含む)及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。 2 被申立人は、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者あて 被申立人代表者名 当社は、昭和48年賃上げにおける考課査定において、日本硝子尼崎労働組合の組合員を不利益に取り扱い、また従前の取扱いに反し、一方的に同労働組合に対して、尼崎工場の全従業員の本給通知書を交付しませんでした。 これらの行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
5121 挙証・採証
48年賃金査定において、会社は申立組合員の対象者数は、さほど多数ではなく、特に専Cは、僅か5名であって、大量観察方法を取り得る状況でないと主張するが、申立組合員全体では、大量観察に耐え得る人員を有しており、また専Cの5名について、勤務成績等で45年~47年と異る特段の事情が認められず、更に専C該当の別組合員、脱退者との格差は、他の職群のほぼ同様の傾向を示していることから総合すると専Cのみを切り離して考察する必要性は特に認められず、他の職群同様に大量観察によって検討することを不適当とすることはできない。
1201 支払い遅延・給付差別
46、47年賃上げ前において申立組合の脱退者は申立組合員より優遇されており、従って、48年賃上げ前の差別は申立組合員と会社派(脱退者及び別組合員)との間の複合差別であるとの組合主張が斥けられた例。
1202 考課査定による差別
会社が、組合員の専C、技A,技B該当者の48年査定額を従前以上に組合脱退者と別組合員に比べて低位に考課査定したことが不当労働行為とされた例。
1202 考課査定による差別
事務技術職と作業職との区分を無視して、技Dについても組合間差別が存在するとの組合の主張が斥けられた例。
3106 その他の行為
会社が、一方的に本給通知の内容を変更したことが不当労働行為とされた例。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集64集297頁 |
評釈等情報 |
労働判例 307号 49頁 
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