労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本メール・オーダー 
事件番号  東京地労委 昭和47年(不)第124号 
東京地労委 昭和48年(不)第97号 
申立人  X1 他1名 
申立人  全日本商業労働組合東京都支部 
申立人  全日本商業労働組合 
被申立人  株式会社 日本メール・オーダー 
命令年月日  昭和53年 3月28日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合加入の妨害や組合脱退を勧奨し、合理化問題に関する団交申入れに対し、交渉内容が不明確であるとして応じなかったこと、組合員2名に配転を命じ、同配転が同一部内であることを理由に団交を拒否したこと、許可なく裁判所にいった組合員を無断職場放棄として出勤停止処分に付し、一時金問題についてのストに対抗してロックアウトを行いこの間の賃金をカットした事件で、組合加入妨害・組合脱退勧奨の禁止、組合員X2についての配転命令の撤回、出勤停止処分の撤回、原職復帰、ロックアウトにより控除した賃金相当額の支払い、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社日本メール・オーダーは、従業員の日本メール・オーダー分会への加入を妨害する言動を行なったり、同分会からの脱退を勧奨したりしてはならない。
2 被申立人会社は、申立人X2に対する昭和47年11月7日付管理部発送係大崎倉庫担当への配置転換命令を撤回し、同人を同部0メール係に復帰させなければならない。
3 被申立人会社は、昭和47年11月30日、同年12月1日に行なったロックアウトにより控除した賃金相当額を、控除した分会員に支払わなければならない。
4 被申立人会社は、申立人X2に対する昭和48年10月15日付出勤停止処分を撤回し、同処分により控除した同月16日、17日分の賃金相当額を支払わなければならない。
5 被申立人会社は、本命令書受領後1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に下記のとおり明瞭に墨書して、本社玄関の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                記
                    昭和 年 月 日
  全日本商業労働組合
    執行委員長 X3 殿
  全日本商業労働組合東京都支部
    執行委員長 X4 殿
             株式会社 日本メール・オーダー
               代表取締役 Y1
 当社が行なった下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後は、このようなことのないよう留意いたします。
                記
(1)会社部・課長らが、従業員に対し貴労働組合日本メール・オーダー分会への加入を妨害する言動を行なったり、同分会からの脱退を勧奨したりしたこと。
(2)当社が、貴分会員X2および同X1両氏に対し、昭和47年11月7日および8日付大崎倉庫へ配置転換を命じたこと。また、両氏の配置転換に関して団体交渉に応じなかったこと。
(3)当社が、0メール合理化計画に関し、貴分会からの団体交渉申し入れに応じなかったこと。
(4)当社が、昭和47年11月30日および同年12月1日にロックアウトを行なったことおよび貴分会員から同ロックアウトにより賃金を控除したこと。
(5)当社が、貴分会員X2氏に対し、昭和48年10月15日、出勤停止処分を行なったこと。
(注、年、月、日は文書を掲示した日を記載すること) 
判定の要旨  0419 ロックアウトとの関連
分会の3日間にわたる各1時間のストによって業務に若干の混乱が生じたとしても、その混乱の度合からこれに対抗して行われた2回にわたる各23時間行われたロックアウトは分会の争議行為に対する対抗防衛手段としての性格を超えていたといわざるをえない。

1400 制裁処分
1600 休暇の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X2が別件訴訟事件で裁判所へ行くための休暇届に対して、業務上支障があるとして時季変更権を行使し不許可にした会社の態度はあまりにかたくなにすぎ、同人がこれを無視し裁判所に行ったことを無断職場放棄として出勤停止処分に付したのは苛酷であり、同人の組合活動を嫌い本件処分により組合活動に打撃を与えようとしたものである。

0419 ロックアウトとの関連
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合のストに対して行われた過剰ロックアウトにより分会員の就労を阻止して賃金を支払わなかったことが不当労働行為とされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
合理化反対の中心人物である組合員2名を、O倉庫に人員が必要になったことを奇貨として配置転換したことが不当労働行為とされた例。

2304 経営事項
合理化問題に関する団交申入れに対して、労働条件の変更を伴なわない等を理由として団交拒否したことが正当な事由がないとされた例。

2301 人事事項
組合員2名の配置転換が同一部内の異動としても、労働条件の変更であり、労働時間と賃金に変更がないことを理由には団交に応じない会社の態度が団交拒否とされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
部課長等の分会員に対する自宅訪問等による組合加入の妨害や組合脱退勧奨の言動が支配介入とされた例。

4422 その他
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
5122 和解・取下
組合員2名の配転のうち、X1の原職復帰の部分の申立撤回があったので、X1についてはポスト・ノーティスのみを命じた例。

4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
合理化問題及び配転問題についての団交拒否について、命令を発する時点で、とくにあらためて団交を命ずる必要もないと思料されるところからポスト・ノーティスのみを命じた例。

4820 単一組織の支部・分会等
申立人組合支部が申立人組合の単なる下部組織であり、当事者能力を有しないとする主張が斥けられた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集63集260頁 
評釈等情報   

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