事件名 |
ダイニック |
事件番号 |
京都地労委 昭和49年(不)第3号
|
申立人 |
X1 他七名 |
被申立人 |
ダイニック 株式会社 |
命令年月日 |
昭和53年 2月24日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
|
事件概要 |
資格制度を導入し、組合内の申立人ら8名について、42年以降の昇
格をゼロ査定または差別査定した事件で、42年以降の昇給差額の支給を命じ、法7条1号の条文と同趣旨の不作為命令を求める
部分については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同
X6、同X7、同X8に対して、昭和42年以降の昇給差額として次表(省略)の金額を支給しなければならない。
2 申立人らのその余の請求を棄却する。 |
判定の要旨 |
0125 組織・職場活動(含証人の行為)
0126 反執行部・分派活動
組合の承認または指示によらない申立人らの活動は、いずれも労働者の経済的利益を維持向上するために行った正当な組合活動と
しての枠を逸脱するものではなく、その基本的視点がたまたま日本共産党の立場と一致するものであったからといって、これを組
合活動でないとするのは当らない。
5201 継続する行為
昇給差別について継続する行為が認められるのは、昇給査定、昇給決定及び賃金支払行為の三者が重畳的に一本のものであり、し
かもこれが同一の不当労働行為意思のもとに毎年反覆継続されている場合である。本件については、社長方針にみられるように会
社は一貫して申立人らの活動を非難しており、会社の態度は単に抽象的に組合ないし組合活動に対する嫌悪を示したものではな
く、正に申立人らの行ってきた具体的な行為を目して非難し、これを排斥せんとしていることは明らかである。このことと毎年度
の昇給差別行為とを併せ考えれば、本件昇給差別は同一の不当労働行為意思に基づいて、毎年昇給差別が反覆継続されているもの
とみるべきである。
1202 考課査定による差別
資格制度、人事考課査定制度を利用し、申立人らの昇給を低く扱ったことが不当労働行為とされた例。
4407 バックペイの支払い方法
4413 給与上の不利益の場合
申立人らは同年齢、同勤続、同学歴の者の平均昇給額と申立人各人の昇給額との差額の合計額を主位的請求とするが、同勤続等の
者の平均昇給額の立証がないので、予備的請求としての会社と組合間で締結されている協定平均昇給額と申立人各人の昇給額との
差額の支給を命ずることが相当とされた例。
4413 給与上の不利益の場合
48年度以降の昇給差別の具体的内容についての主張、立証がない場合でも、それ以前の差別的昇給の基礎のうえに48年度以降
の昇給が行われており会社の不当労働行為意思も存続しているときは48年度以降についても救済すべきだとされた例。
4416 将来にわたる不作為を命じた例
法7条1号の規定と同意義の不作為命令の申立てが、特に主文に掲げる必要がないとして棄却された例。
4413 給与上の不利益の場合
昇給差別に関する救済申立ては賃上げ要求とは解されず、現実に存在する昇給差別部分についての回復を求めるものであり、その
部分について労委が是正を命ずることはなんら不当ではないとされた例。
|
業種・規模 |
衣服・その他の繊維製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集63集190頁 |
評釈等情報 |
労働判例 297号 52頁
|