労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  日本精密計測 
事件番号  大阪地労委 昭和51年(不)第128号 
大阪地労委 昭和51年(不)第144号 
申立人  総評全国一般大阪地連合日本精密計測労働組合 
被申立人  日本精密計測 株式会社 
命令年月日  昭和53年 2月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合役員5名を新設出張所への配転を拒否したことを理由に懲戒解雇したこと、団交ルールの先議等を理由に団交拒否したこと、スト中止後もロックアウトを継続し、これに伴う賃金、一時金を減額したこと、組合が就労中ワッペン、腕章を着用したことにつき警告を発したりした事件で、原職復帰、バックペイ(年5分加算)を含む配転命令、懲戒解雇がなかったと同様の状態の回復、団交拒否の禁止、過剰ロックアウトに伴う賃金、一時金控除分の支給、誓約文の掲示を命じ、ロックアウトの開始2時間分の賃金相当額を求める救済については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X1、X2、X3及びX4に対して、次の措置を含め、昭和51年8月30日付け転勤命令、同年9月3日付け懲戒解雇及び同月5日付け懲戒解雇が、それぞれなされなかったと同様の状態に回復させなければならない。
(1) 原職に復帰させること。
(2) 解雇の日から原職復帰の日までの間、同人らが受けるはずであった賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた額を支払うこと。
2 被申立人は、団交ルールが確立されていないこと、申立人が組合員名簿、組合役員名簿及び組合規約を提出しないことを理由に、申立人との団交を拒否してはならない。
3 被申立人は、別紙記載の組合員らに対して、昭和51年11月13日午前10時以降のロック・アウトに伴う11月分賃金及び52年夏季一時金からの控除相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、速やかに縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社本社技術課入口扉付近の従業員の見やすい場所に、1週間掲示しなければならない。
               記
                       年 月 日
    申立人代表者あて
                    被申立人代表者名
 当社は、下記の行為を行いましたが、これらの行為は不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
               記
(1) 貴組合員X1、同X2、同X3、同X4及びX5の各氏に転勤を命じ、これに従わなかったことを理由に同氏らを懲戒解雇したこと
(2) 貴組合との団交に応じなかったこと
(3) 昭和51年11月13日午前10時以降ロック・アウトを行い、かつこれに伴う賃金・一時金を控除したこと
(4) 貴組合員がワッペン、腕章を着用して就労したこと及び貴組合が組合旗を掲出したことに対し、貴組合に警告を発したこと
 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。
5 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
労使関係の緊張状態下において抗議のための腕章、ワッペンを着用して就労することは労働組合において広く一般に用いられるものであり、その着用に伴い、具体的に会社の事業活動に支障があったとも認められず、また得意先で腕章のとりはずしを求められた場合には、それに応じていることからすれば、本件組合員らの腕章、ワッペンの着用就労は、正当な組合活動である。

0419 ロックアウトとの関連
2時間のストでも、それが実施された場合1日ストと同様、会社業務に重大な支障を与えることも考えられ、会社がロックアウトを行ったことはやむを得ないが、組合がストライキの中止を通告した以降は、組合員から平常どおりの労務の提供を受けることができたにもかかわらず組合員を就労させるための配慮を一切しなかったもので、午前10時以降もロックアウトを続けたことは、組合のストライキ通告に対抗する手段としては、その限度をこえた過剰なロックアウトといわざるを得ない。

1300 転勤・配転
1602 精神・生活上の不利益
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社の発表した中期経営計画に基づき、技術課員に営業活動を担当させる必要性があるにしても、組合役員ら5名の技術課員を全国各地に転勤させる必要性があったとは認められず、しかも、会社の選考は恣意的なもので、かつ遠隔地への発令で職種変更を伴うものであって、職務上、生活上の不利益扱いのみならず、組合組織の壊滅を企図したものといわざるを得ない。

0200 宣伝活動
会社の団交拒否に抗議する目的でなされた組合旗の掲出が、会社の業務上、施設管理上、支障のないことから、正当な組合活動であるとされた例。

1102 業務命令違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
配転命令に応じなかったことを理由に組合役員ら5名を解雇したことが不当労働行為とされた例。

0419 ロックアウトとの関連
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
ストライキ中止の通告後も、ロックアウトを行い組合員らの賃金を控除したことが不当労働行為とされた例。

2210 組合員名簿・組合規約不提出
組合員名簿等の提出がないとして団交に応じないことが不当労働行為とされた例。

2211 団交ルールの先議
団交ルールの確立を団交開催の前提条件に団交に応じないことが不当労働行為とされた例。

2241 他の係争事件の存在
配転命令及び懲戒解雇問題が地裁及び労働委員会で係争中であるとして団交議題から除外し、団交に応じないことが不当労働行為とされた例。

3020 組合活動への制約
3106 その他の行為
腕章、ワッペン着用及び組合旗の掲出に対し、警告を発し、禁止を求めたことが不当労働行為とされた例。

業種・規模  建設業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集63集147頁 
評釈等情報  労働判例  294号 69頁 

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約472KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。