概要情報
事件名 |
キグナス石油 |
事件番号 |
福岡地労委 昭和49年(不)第21号
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申立人 |
総評繊維労連ニチモウキグナス労働組合福岡支部 |
被申立人 |
キグナス石油 株式会社 |
被申立人 |
キグナス石油 株式会社福岡支店 |
命令年月日 |
昭和53年 2月 8日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
賃金一時金の支給に際して申立人支部の組合員3名の考課査定を他組合の組合員より低査定した事件で、賃金、一時金の査定の是正と差額の支給(年6分加算)および謝罪文の掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、総評繊維労連ニチモウキグナス労働組合福岡支部組合員X1、同X2、同X3に対し、昭和47年年末一時金以降同49年夏期一時金までの各期一時金及び昭和48年、同49年の各賃金における人事考課査定をBランクに是正し、この是正に基づいて算出した前期各期の一時金及び賃金と既支給額との差額並びにこれに対する年6分の割合による利息相当額を支払わなければならない。 2 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記謝罪文を縦1メートル、横2メートルの白紙に明瞭に墨書して、被申立人会社及び福岡支店の従業員の見やすいところに1週間掲示しなければならない。 記 会社が、総評繊維労連ニチモウキグナス労働組合福岡支部組合員X1、同X2、同X3に対し、昭和47年年末一時金以降同49年夏期一時金までの各期一時金並びに昭和48年、同49年の各賃金における人事考課において行った査定は、福岡県地方労働委員会の命令により不当労働行為であると判定されましたので、貴組合に対し遺憾の意を表するとともに速やかに是正いたします。 昭和 年 月 日 総評繊維労連ニチモウキグナス労働組合福岡支部 支部長 X3 殿 キグナス石油株式会社 代表取締役 Y1 同 福 岡 支 店 支 店 長 Y2 |
判定の要旨 |
4905 経営補助者
本件救済申立てにかかる不当労働行為の存否に関する紛争は、もっぱらF支店における査定がその出発点となっている問題であり、支店は紛争内容の解決に無関係ではないばかりではなく、むしろ、その解決の主要な立場にたっているものと考えられ、かような場合には労働委員会の命令の有する任務と使命に鑑みて本社のほかに法人格のない支店又は事務所をもまた被申立人として救済命令の当否を判断することは、労組法7条及び27条の運用上肯認して差支えない。
5201 継続する行為
本件の内容は、組合分裂以来、各年の賃金及び一時金とにわたり、終始一貫して連続して行われた差別であり、組合もその都度、労働委員会に救済申立てこそしなかったが労使間においては、不満の表明、紛争の種になっていたものであることが認められるのであり、かかる場合には、一連の意思に基づく、連続関連する不当労働行為として把握認識さるべく、全部を包括して一個の不当労働行為を構成するものと考えなければならない。
1202 考課査定による差別
3700 使用者の認識・嫌悪
組合分裂後、申立人組合員3名につき、賃金及び一時金を他組合員より下位にしたことが組合分裂後の申立人組合員に対する会社の嫌悪の情などと併せ考え不利益取扱いとされた例。
4820 単一組織の支部・分会等
本件申立人は、支部規約を有し、その執行機関、決議機関を有し、一応の独立性と自立性とを具有し、単独の組合活動を志向し、また、実行しているとして当事者適格が認められた例。
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業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集63集133頁 |
評釈等情報 |
労働判例 296号 72頁 
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