労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  厚木自動車部品 
事件番号  神奈川地労委 昭和51年(不)第5号 
申立人  X2 他4名 
被申立人  厚木自動車部品 株式会社 
命令年月日  昭和53年 1月31日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  申立人5名に対して昭和44年以降賃金、一時金、昇格を不利益に取扱った事件で、49年以降について賃金、一時金、資格手当の差別是正及びバックペイ(年5分加算)と、命令交付後の技師補等への任用、将来にわたる資格是正、資格、職務、賃金、一時金についての差別扱い禁止、申立人5名に対する陳謝文の手交及び掲示を命じ、47年時点等の昇格是正については棄却した。 
命令主文  1 被申立人厚木自動車部品株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5に対し、昭和49年4月1日に遡って「基本給+特別手当」、資格手当、夏季一時金、および年末一時金の各金額を次表(省略)記載のとおり改め、それぞれすでに支払済金額との差額、および同差額につき本来支払われるべきはずであった日の翌日からこれが支払済に至るまで年5分相当額を併せ支払わなければならない。
2 被申立人厚木自動車部品株式会社は、命令書(写)交付以後申立人X1を技師補(上級)に、同X2およびX3をそれぞれ技手に、同X4およびX5をそれぞれ技手補に任用し、各申立人にその資格および能力に見合った職務を与え、かつ、職掌につけなければならない。
3 被申立人厚木自動車部品株式会社は申立人等5名に対し、将来にわたって資格、職能段階、職務内容、および職掌並びに賃金及び一時金につき、労働組合活動を理由とする差別を行ってはならない。
4 被申立人厚木自動車部品株式会社は申立人等5名に対し、本命令の交付を受けた日から5日以内に下記謝罪文を手交するとともに、縦 1.5メートル以上、横2メートル以上の白色木板に鮮明に墨書し、本社・工場、および飯山工場の各正門傍らに見易い高さを保って向う2週間毀損することなく掲示しなければならない。
            陳  謝  文
 当社は貴殿らに対し資格、昇給、昇格、一時金などにつき差別を行ってきましたが、今般神奈川県地方労働委員会により昭和49年4月以降の上記差別につき、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である旨の認定を受けました。つきましては、この不当差別により貴殿らに未払いとなっている同年同月分以降の差額分を早急にお支払い致すとともに、命令書(写)交付の日を以って貴殿らを同上地方労働委員会の命ずる資格に任用致します。当社はこれまでの行為により貴殿らに多大の不利益を与えてきたことを深謝し、今後かかる違法行為を一切行わないことを誓います。
      昭和 年 月 日
   X1
   X2
   X3 殿
   X4
   X5
             厚木自動車部品株式会社
                代表取締役 Y1
5 申立人等5名のその余の救済申立てを棄却する。 
判定の要旨  0122 サークル活動
申立人等のなした「学習会」設置行為は、労働者に与えられた労働者としての権利への覚醒、およびこれによって得た権利意識の高揚活動であり、また「労研」、「明厚会」を通じての行為は組合員の内面にかくされた要求をも充分に汲み取り、もってこれを組合活動方針の中に採り入れて貰わんがための活動であり、組合の内部的民主制の実現を目指した「労働組合の正当な行為」に該当するものと認められる。

5201 継続する行為
賃金額決定行為は当該年度の最終月の賃金支払行為の終了によりその目的を完全に達成するものであるから、決定行為と毎月の支払行為は一体であり、決定行為が不当労働行為である時は支給行為も不当労働行為となり、救済の対象は決定行為時からとなる。本件申立ては51年3月5日であるから50年3月の支払行為が救済対象となるのはいうまでもなく、同月分賃金の決定たる49年4月まで遡及して救済の対象となる。

4415 賃金是正を命じた例
申立人X2およびX5の能力についての立証程度からみて、賃金、一時金、資格等の差別の是正すべき金額はそれぞれの同期生の平均額と同額までとすることが相当とされた例。

4413 給与上の不利益の場合
申立人5名等の資格については、本命令書交付後に技師補、技手または技手補に任用の上、さらに各申立人の請求時に昇格していたものとして、他の従業員との差別なく取扱うべきだとされた例。

5124 その他の審査手続
準備書面において、昭和52年夏季一時金までの是正を求めたことが、救済申立範囲の拡張請求として有効なものとされた例。

5201 継続する行為
賃金差別について、賃金決定行為と支給行為は一体であり、申立時より2年前の支給行為と一体である賃金決定時即ち申立時より2年前まで遡及して救済の対象となるとされた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集63集109頁 
評釈等情報  労働法律旬報 伊藤幹郎 一木剛太郎 1978年3月25日  948号 74頁 
労働経済判例速報 昭和53年3月30日  974号(29巻8号) 21頁 

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