労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  不二タクシー 
事件番号  東京地労委 昭和48年(不)第92号 
東京地労委 昭和49年(不)第19号 
申立人  不二タクシー労働組合 
被申立人  不二タクシー 株式会社 
命令年月日  昭和53年 1月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が賃上げの妥結日に固執して、一方的に妥結日から新賃金を支給したこと、スト中であることを理由に団交を拒否し、チェックオフを中止したこと、前借金の貸付差別が争われた事件で、賃金については、会社が一度実施を約し、後で撤回した期日に遡及して支給すること、団交の応諾を命じ、チェック・オフ、前借金に関する申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人不二タクシー株式会社は、申立人不二タクシー労働組合の組合員に対し、昭和48年度賃金引き上げを、同年6月1日に遡って実施し、同月11日までの分を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人組合から団体交渉の申入れを受けた場合、同組合がストライキ中であることを理由として、これを拒否してはならない。
3 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
 賃上げ実施日の6月1日実施を撤回し、妥結日である同月12日実施したことに、大きな事情の変化がおきたとは認められず、にわかに、会社が従前の回答を撤回することもやむを得ないと認めるに足る事情は疎明がなく、その後会社は組合からの交渉申入れに全く応じなかったことをあわせ考えれば、ことさら申立人組合を不利に取扱ったものである。

4408 バックペイが認められなかった例
 賃上げを新労と同日の5月17日遡及実施を求めるが、組合は自己の責任と判断に基づき会社回答を拒否し交渉を継続したもので、組合のみに適用されたレクリェーション費用および遵法闘争による組合員の賃金ダウン分の補償は、実施日を5月17日としないことの代償としてほぼ相当であるから、これらの経過を無視して、新労と同じく5月17日実施を命ずることは合理性がなく、本件救済としては6月1日実施を命ずることをもって十分である。

2241 他の係争事件の存在
 組合は交渉が行き詰った結果、自己に有利に導くためにストライキを行ったのであるから、ストライキ中においてなお団体交渉を開催する必要性は乏しいとして団交を拒否したことが正当理由なしとされた例。

2230 不穏当な態度
 ストライキ中は「つるし上げ団交」となるため団交を行わないとしたことが正当理由なしとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
 組合の闘争期間中は、チェックオフを行わないという例にならい、赤旗掲揚中はチェックオフを行わなかったことが不当ではないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集63集94頁 
評釈等情報  労働判例  293号 77頁 

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