事件名 |
九州産業通信社 |
事件番号 |
福岡地労委 昭和50年(不)第45号
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申立人 |
総評・全国一般労働組合福岡地方本部福岡支部 |
被申立人 |
株式会社 九州産経新聞社 |
被申立人 |
株式会社 九州産業通信社 |
命令年月日 |
昭和52年12月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社を解散して、組合員を解雇し未払賃金を支給せず、休眠中の別会
社を会社と同一目的に改組、営業を行った事件で、両者に解雇撤回、原職又は原職相当職への復帰、途上死亡者についての相続人
に対する支給を含むバックペイを命じたほか、会社にポスト・ノーティス命じ、J協会に対する救済申立て、通信社の事業再開等
については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社九州産業通信社及び被申立人株式会社九州産経
新聞社は、それぞれ下記の申立人組合員に対し、昭和49年10月30日の解雇を撤回し、原職又は原職相当職に復帰させるとと
もに、両被申立人は各自解雇の日の翌日から原職に復帰するまでの間、同人らが得べかりし賃金相当額を支払わなければならな
い。
記
X1 X2 X3 X4
X5 X6 X7 X8
X9 X10 X11 X12
X13 X14 X15
2 被申立人株式会社九州産業通信社及び被申立人株式会社九州産経新聞社は、各自、申立人組合員X16に対し、昭和49年
10月30日の解雇を撤回し、解雇の日の翌日から同人が死亡した昭和51年12月20日までの間、同人が得べかりし賃金相当
額及び死亡退職に伴い支給されるはずであった金員相当額を同人の相続人に支払わなければならない。
3 被申立人株式会社九州産業通信社は、下記の陳謝文を本命令交付の日から1週間以内に縦1メートル、横2メートルの白紙に
明瞭に墨書し、株式会社九州産業通信社の見易い場所に1週間掲示しなければならない。
記
総評全国一般労働組合福岡地方本部福岡支部
執行委員長 X17 殿
株式会社 九州産業通信社
代表取締役 Y1
昭和49年10月30日株式会社九州産業通信社の申立人組合員X1以下16名に対して行なった解雇は、福岡県地方労働委員
会の命令によって不当労働行為であると判断されましたので、貴組合に対し遺憾の意を表するとともに、上記解雇を撤回します。
昭和 年 月 日
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1700 偽装解散
K通信社を閉鎖し登記簿上のみ存在していたT社を通信社と同一目的に改組し、K新聞社と商号変更して営業を行い、通信社の非
組合員ら数名を雇用し、本件救済を求めているX1以下16名を雇用しなかったことは、いわゆる偽装的会社閉鎖である。通信社
と組合との間に成立した解散・解雇協定の内容である未払賃金の支払が不履行であり、その後の経緯は上記の如くなっているの
で、この協定は、通信社が不当労働行為に該当する解雇を行うための手段、経緯であり、X1ら16名に対して行った解雇は不当
労働行為を構成すると判断される。
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
新旧2社に対し等しく申立人組合の組合員16名の解雇の撤回、申立後の死亡者を除く15名に対し、原職又は原職相当職への復
帰及びバックペイを、死亡者に対しては、解雇後死亡日までの賃金相当額及び死亡退職に伴い支給されるべき金員相当額の相続人
に対する支払いを命じた例。
4916 企業に影響力を持つ者
K通信社とK新聞社とは商号、法人格についてはともかく、労使関係上は企業としての同一性を有するとされた例。
5111 被申立人の追加
K新聞社の当事者追加決定の実体は、審問における単なる代表者の追加又は交替と認められることから、労委規則32条の2の第
2項にいう追加しようとする同社の意見をきかなくとも、被申立人たる地位を有するというべきであるとされた例。
5111 被申立人の追加
J協会の被申立人としての追加申立てが、同社が本件の労使関係に直接の責任を負担しない別個の会社と判断されることからこれ
に対する救済申立ては相当でないとされた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集62集632頁 |
評釈等情報 |
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