概要情報
事件名 |
三和商会 |
事件番号 |
大阪地労委 昭和50年(不)第38号
|
申立人 |
全日本運輸一般労働組合中央支部 |
申立人 |
X1 他個人11名 |
被申立人 |
株式会社 三和商会 |
命令年月日 |
昭和52年11月21日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
営業成績不振等を理由に陸運部を廃止し、分会員10名を解雇、5名を配転した事件で、解雇と配転がなかったものとしての取扱いとバックペイ(年5分相当額の加算を含む。)、これら分会員の勤務場所等に関する誠意ある団交の実施及び将来陸運部を再開した場合の、優先的な就業並びにポスト・ノーティスを命じ、同12名あてのポスト・ノーティスについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8に対して、昭和49年11月15日付け解雇がなかったものとして取り扱い、同月16日以降同人らが受けるはずであった賃金、一時金相当額(ただし、既に受領した額を除く)及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。 2 被申立人は、X9、X10、X11及びX12に対して、昭和49年11月15日付け配置転換及び昭和50年5月23日付け工事部伊丹鉄筋倉庫への配置転換がそれぞれなかったものとして取り扱い、昭和49年11月16日以降同人らが受けるはずであった賃金、一時金相当額(ただし、既に支払われた額を除く)及びこれに年率5分を乗じた額を支払わなければならない。 3 被申立人は、上記分会員らの勤務場所等に関して、誠意をもって申立人組合と団体交渉を行わなければならない。 4 被申立人は、将来陸運部を再開した場合は、上記分会員らを優先的に同部において就業させなければならない。 5 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社の本社事務所入口及び鶴浜倉庫正門附近の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 全日本運輸一般労働組合中央支部 代 表 者 あ て 同支部 三和商会分会 代 表 者 あ て 被申立人代表者名 当社は、昭和49年11月15日付けで陸運部を廃止し、貴支部、貴分会の組合員15名中10名を解雇、5名を配置転換しましたが、これらの行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。 以上、大阪府地方労働委員会の命令により掲示します。 6 申立人らのその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
陸運部の赤字は会社が仕事を取りあげて会社の事実上の陸運部門と認められるS商事や傭車に肩替りさせたこと等によるものと考えられること、また分会が過積に積極的に反対しているから赤字は解消できないとの主張も容認しがたいこと、さらに分会のストも行過ぎたものではなく、分会員が怠情との疎明もないこと等と、分会結成後の労使関係を総合的に考えると、陸運部を廃止して、分会員らを解雇し、または配転した行為は分会弱体化を図った不当労働行為であるといわざるを得ない。
5008 その他
申立人分会員らが陸運部従業員として働く意思を持ち続けていること、その他本件審問の全趣旨に徴して考えると本件陸運部の再開は十分可能であるとも考えられるが、会社に対し免許申請を行えと命ずることは当委員会の権限を越えていると思料されこの点については会社の誠意ある行為に期待せざるを得ず、再開した場合の優先的就業を命ずることが相当である。
4000 退職金等の受領
被解雇者が退職金を賃金の一部として受け取ったとしても、解雇を認めたとはいえず被救済利益ありとされた例。
|
業種・規模 |
倉庫業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集62集507頁 |
評釈等情報 |
 
|