労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  オランダ銀行 
事件番号  大阪地労委 昭和51年(不)第19号 
申立人  外国銀行外国商社労働組合大阪支部第3分会 
被申立人  アルメヘーネ・バンク・ネーデルランド・エヌ・ブイ大阪営業所 
命令年月日  昭和52年11月 9日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  労委の救済命令に基づく協定により原職復帰した分会員X1に解雇前の業務を与えず、分会員3名に対し25年勤続表彰金を減額し又は支給せず、分会員2名に対し住宅資金の貸付けをしなかった事件で、X1に対する解雇前の業務の付与、25年勤続表彰金の差額等の支給、住宅資金の貸付けに際し条件を付して貸付けを拒否してはならない旨及び誓約文の手交を命じ、X1の課長代理職への昇進、勤続25年表彰金に昼食手当の算入することについては申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、X1に、同人が昭和41年6月14日付け解雇前従事していた経理計算課における外国為替勘定等の業務を与えなければならない。
2 被申立人は、X1、X2及びX3に対して、それぞれの措置を講じなければならない。
(1) X1に対して、同人の勤続25年にあたる昭和50年7月10日における1カ月分の基本給及び家族手当の合計額と、これに課せられる所得税相当額を合せた額(以下、これを「1カ月分の賃金相当額」という)のジュビリー・ボーナス及びこれに年率5分を乗じた額を支給すること
(2) X2及びX3の両名に対して、同人らの勤続25年の応当日における1カ月分の賃金相当額(ただし、既に支給した金員を除く)のジュビリー・ボーナス及びこれに年率5分を乗じた額を支給すること
3 被申立人は、X4及びX5に対する住宅資金の貸付けに際して、「仕事に精励する」、「今後暴力行為をしない」との旨を記載した文書を提出しないことなどに藉口して貸付けを拒んではならない。
4 被申立人は、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
              記
                     年 月 日
    申立人代表者あて
                  被申立人代表者名
 当行は、貴分会員に行った次の行為が、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
(1) X1に対して、同氏が病気回復した昭和49年10月1日から正常な勤務に服せたにもかかわらず、同日以降、外貨取引の損益計算日報の作成業務しか与えなかったこと
(2) X1に対して、ジュビリー・ボーナス全額を支給しなかったこと
(3) X2及びX3の両氏に対して、ジュビリー・ボーナスを10万円しか支給しなかったこと
(4) X4及びX5の両氏に対して、住宅資金の貸付けを行わなかったこと
5 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
労委命令に基づく労使協定により経理計算課に復帰した分会員X1に対し、1日2時間要すれば完遂可能な業務しか与えておらず、X1が復帰の際「指定医のレポートをもらったうえで具体化したい」旨の会社の指示に従い診断を受けた後も会社は、その診断資料を取り寄せることなく、10カ月余りも放置し、しかもX1に再度の受診を要請しながら、その結果を直ちに取り寄せていないことなど会社にはX1に解雇前の業務を与えようとする意思があったとは考えられず、このような会社の措置はX1が分会の中心的活動家であることを嫌悪してなした職務上の不利益取扱いといわざるを得ない。

1201 支払い遅延・給付差別
長期欠勤を理由に分会の中心人物X1に勤続25年表彰金を支給しなかったことが不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
役職者でないことを理由に分会員2名に対し勤続25年表彰金を減額支給したことが不当労働行為とされた例。

1601 福利厚生上の差別
分会組合員X4に対し住宅資金の貸付希望額が、担保の評価額より高いことを理由に貸付を拒んだことが、不当労働行為とされた例。

1601 福利厚生上の差別
分会員X5に対し、本人の持家の改造ではなく、父親所有家屋の改造であることを理由に住宅資金の貸付けを拒んだことが不当労働行為とされた例。

業種・規模  金融業、保険業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集467頁 
評釈等情報   

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