労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  コシナ 
事件番号  長野地労委 昭和50年(不)第10号 
申立人  コシナ労働組合 
被申立人  株式会社 コシナ 
命令年月日  昭和52年11月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  協定締結後短期間で人事同意約款を破棄したこと、組合員X1の通勤費支給を打切ったこと、組合の横断幕、プラカードを撤去破棄したりビラ配付中の組合員に放水したこと、団交について別組合と差別したこと及び昇給査定及び年末一時金+αについて組合間差別した事件で、誠意団交、組合宣伝活動の妨害禁止、組合員X1への通勤費支給、昇給査定の是正及びバック・ペイ、+α支給及び誓約書の掲示と手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から団体交渉の開催を申し込まれた際、正当な理由がなくこれを引き延ばしたり、交渉委員について、申立外全コシナ関連労働組合との間に差別取扱いをしてはならず、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人が掲げるプラカードや横断幕を正当な理由がなく撤去したり、申立人組合員に対し放水する等して、申立人の行う宣伝活動を妨害してはならない。
3 被申立人は、申立人組合員X1に対し、通勤費の支給を再開するとともに、昭和50年2月以降再開に至るまでの間に、同人が受けるべき通勤費相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、昭和49年9月度昇給について、下記のとおり措置し、昭和49年9月分以降の賃金及び一時金について、この措置によって生じた差額を支払わなければならない。
(1) 申立人組合員X2、同X3及び同X4の昇給額を 5,000円とすること。
(2) 申立人組合員X5の昇給額を、基本給に 0.055を乗じて得た額とし、同X6及び同X7の昇給額を、それぞれの基本給に0.04を乗じて得た額とすること。
5 被申立人は、昭和49年年末一時金のプラスα分として、別表1(省略)に掲げる申立人組合員16名に対し、本給に0.21を乗じて得た額を支給しなければならない。
6 被申立人は、別表2(省略)に掲げる申立人組合員14名の昭和50年4月度昇給額を、基本給に 0.075を乗じて得た額に是正し、昭和50年4月分以降の賃金及び一時金について、この是正によって生じた差額を支払わなければならない。
7 被申立人は、下記の誓約書を申立人に手交するとともに、同文を縦1メートル、横 1.5メートルの木板に墨書して、被申立人本社工場正門付近の従業員の見やすい場所に、7日間掲示しなければならない。
              記
          誓  約  書
 当社は、団体交渉拒否をはじめ、確認書をめぐって紛議を起こす等、貴組合の組合活動に支配介入を行ってきました。
 また、貴組合の組合員に対し、他の従業員との間に、賃金及び一時金で差別扱いを行ってきました。
 これらの行為は、不当労働行為でありますので、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
    昭和 年 月 日
    コシナ労働組合
        執行委員長 X2 殿
         株式会社 コシナ
           代表取締役 Y1
8 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
施設の維持管理上あるいは業務上特段の支障がない場所への横断幕、プラカードの掲示は争議中における不当な組合活動とはいえないとされた例。

0200 宣伝活動
事務所や工場の窓ガラスへのビラ貼付が業務上特に支障のないことと、緊迫した労使関係時のものであることから不当な組合活動とはいえないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1の通勤費を打切り、経済的な打撃を与えたことが不当労働行為とされた例。

1202 考課査定による差別
2901 組合無視
49年9月度昇給査定において、申立人組合員を別組合員より低く査定したことが不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
49年年末一時金の+αを申立人組合員のみ支給しなかったことが不当労働行為とされた例。

1202 考課査定による差別
2901 組合無視
50年4月度昇給査定において、申立人組合員を別組合員より低く査定したことが不当労働行為とされた例。

2246 併存団体との関係
別組合と差別した会社側の団交態度が不当労働行為とされた例。

3020 組合活動への制約
横断幕、プラカードを一方的に撤去、乱暴に扱って破損したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
ビラ貼付を阻止しようとして、故意に消火栓から放水した会社の行為が支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
作業の支障のある場所でのデモ行進を会社が阻止しても支配介入ではないとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
団交の結果確認された人事同意約款を、会社が一方的に破棄したことが不当労働行為とされた例。

業種・規模  精密機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集381頁 
評釈等情報   

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