労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  第一交通 
事件番号  大分地労委 昭和50年(不)第7号 
大分地労委 昭和52年(不)第1号 
申立人  全自交大分地区自動車交通労働組合 
被申立人  第一交通 株式会社 
命令年月日  昭和52年10月29日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  解雇撤回後の就労問題について団交を拒否して就労させなかったこと、サングラス使用を理由に分会員の乗務を拒否したこと、怠業等を理由に分会書記長を出勤停止処分にしたこと、分会書記長処分抗議行動を行った組合員4名に対し出勤停止処分にしたこと、組合脱退勧奨、退職工作をしたこと、就業時間中の分会大会参加者6名に対し出勤停止処分をしたこと、車両割当てで分会員と他の従業員を差別した事件で、各出勤停止処分の撤回、乗務禁止期間中のバックペイ、組合脱退勧奨行為、車両割当て差別行為の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、組合脱退者6名の救済申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合第一分会分会員X1、同X2、同X3、同X4及び同X5に対して、昭和50年10月5日から同年10月7日までの、又、分会員X6に対して昭和50年10月6日から同年10月7日までの間、それぞれが受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
 但し、昭和50年10月6日の1時間20分及び同年10月7日の1時間10分に相当する諸給与相当額は除く。
2 被申立人会社は、申立人組合第一分会員X4に対して昭和50年10月11日から同年12月9日までの間受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
 但し、昭和50年10月13日就労に伴う既支払分は除く。
3 被申立人会社は、昭和50年10月18日になした申立人組合第一分会員X5に対する昭和50年10月18日から同年10月22日まで5日間の出勤停止処分を撤回し、その間に受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
4 被申立人会社は、昭和50年11月5日になした、申立人組合第一分会員X3に対する昭和50年11月5日から同年11月9日まで5日間の出勤停止処分を撤回し、その間に受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
5 被申立人会社は、申立人組合第一分会員宅を訪問したり、又は、分会員を集めさせたりして、申立人組合を誹謗中傷したうえ、申立人組合からの脱退を勧誘してはならない。
6 被申立人会社は、昭和50年11月30日になした、申立人組合第一分会員X2、同X1及び同X6に対する昭和50年11月30日から同年12月4日まで5日間の出勤停止処分を撤回し、その間に受けるはずであった諸給与相当額を支払わなければならない。
7 被申立人会社は、担当車両の割当について、公平妥当な基準を直ちに設けて、該基準に基づき、申立人組合第一分会所属の組合員の担当車両を、他の従業員と差別扱いせず、公平に変更指定しなければならない。
8 被申立人会社は、本命令書を受領した日から10日以内に縦 110センチメートル、横80センチメートルの白紙に下記陳謝文をわかりやすく楷書で墨書し、これを被申立人会社本社階段上り口付近の従業員の見やすい場所に10日間掲げ、従業員に周知させねばならない。
              記
                  昭和 年 月 日
  全自交大分地区自動車交通労働組合
      執行委員長 X7 殿
            第一交通株式会社
              代表取締役 Y1
 当会社が、貴組合第一分会員に対して、(1)昭和50年10月5日から同月7日まで就労を拒否したこと、(2)昭和50年10月18日、同年11月5日及び同年11月30日に出勤停止処分を行ったこと、(3)退社工作を行ったこと、(4)担当車割当について不当な取扱いをしたこと並びに貴組合第一分会員X4に対する就労禁止は、いずれも大分県地方労働委員会の命令により不当労働行為であると認定されました。当会社は、その行為を深く反省し陳謝の意を表すとともに、今後このような行為をくりかえさないことを誓います。
9 その余の申立は棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
解雇撤回後の就労問題について、団体交渉を拒否しながら、その不就労の責任を一方的に申立組合に転化して賃金を支給しないとすることが不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
サングラスをかけて就労した分会員に対し就労を禁止したことが不利益取扱いとされた例。

1302 就業上の差別
分会員のみに古い車両を割当てたことが不利益取扱いとされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
無届欠勤、仮病及び診断書提出拒否及び怠業を理由に、分会書記長を出勤停止処分としたことが不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
時間内抗議集会参加を理由に、抗議集会参加者を出勤停止処分としたことが支配介入とされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
臨時分会大会に参加するために職場を離脱したことを理由に、分会員を出勤停止処分としたことが不利益取扱いとされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
組合脱退工作のための分会員宅への家庭訪問、組合を脱退すれば退職金を上積みする等の言動が支配介入とされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
申立時分会員であっても審問終結時、組合を脱退し、組合の構成員たる地位を失った者については、組合独自の申立てが維持できないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集362頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]