概要情報
事件名 |
秋田相互銀行 |
事件番号 |
秋田地労委 昭和47年(不)第3号
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申立人 |
秋田相互銀行労働組合 |
被申立人 |
株式会社 秋田相互銀行 |
命令年月日 |
昭和52年10月12日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
46年度以降51年度の昇給・昇格において、職能給制度を導入し同制度の制定・運用について、別組合とは協議し、申立組合とは協議することなく、その格付を別組合員等より低く査定した事件で、46年以降51年度の賃金格付の是正及び年5分の割合による金員を含むバックペイ、格付の組合員差別による支配介入の禁止を命じ、ポスト・ノーティスについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、別表1記載の者の各年度における格付を検討し、下記の基準により是正しなければならない。ただし、従来の格付を不利益に変更してはならない。 記 (1) 別表1記載の1ないし24の24名に対する昭和46年度の格付において、うち14名については別表2・A欄記載の格付を、うち10名については同表・B欄記載の格付を、各下回らないこと。 (2) この24名に対する同47年度以降の格付は(1)により是正された各格付を基礎として行うこと。 (3) 別表1記載の者に対する同47年度以降の各格付については、次の比率を保持すること。 (1) 昇給する者についての各年度における昇給幅の割合が、別表3の比率を下回らないこと。 (2) 2等級・3等級において6号、4等級ないし6等級において8号の各号数を超え、なお同一等級に据置かれる者の申立人組合の各年度における総組合員数に占める割合が、別表4の比率を超えないこと。 2 被申立人は、前項により格付を是正された者に対し、毎年4月1日付で格付されていれば得た筈の賃金相当額と現実に支払われた額との差額およびこれに対する各支払日の翌日から年5分の割合による金員を支払わなければならない。 3 被申立人は、格付にあたって、申立人組合の組合員であることを理由に、他の従業員と差別することにより、組合の運営に支配介入してはならない。 4 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
申立組合員と別組合員との昇給・昇格格差が生じたことについて合理的理由の疎明はなく、別組合とは職能給制度の制定と運用について協議しているにもかかわらず、申立組合に対しては協議もしていないこと、また申立組合と会社との対立関係にあること等からすれば申立組合の弱体化を意図した不当労働行為である。
5121 挙証・採証
昇給・昇格の別組合員等との差別救済申立てについては、申立組合としては別組合員等間の差別の外形的事実があることおよびその差別が労組に対する不当労働行為意思によるものであることを主張すれば足りる。
5121 挙証・採証
人事考課による職能給制度のもとでは、個々の従業員の格付に差が生ずることは当然であるが、集団的に考察するとき、特段の事情がない限り、申立組合員とそれ以外の従業員との間に格差が存在することはありえないのに、本件では格差が生じたことを裏付ける事情はなく、また申立組合員の評価結果自体では格差を生ずるに至った裏付けとはならない。
5008 その他
各年度における格付は、一回性の行為であり、申立てより1年前の行為は救済の対象とできないが、46年度ないし51年度における格付の救済に当っては、この期間における昇給・昇格がなされるに至った過去の経緯を勘案して現存する格差を将来に向い一括して解消することは労委の裁量権の範囲内である。
4419 現存格差を一挙に是正した例
46年度の申立組合員に対する格付については、同年度の別組合員が標準格付においてそれぞれ占める比率と同一となるよう是正するのが相当とされた例。
4419 現存格差を一挙に是正した例
47年度以降51年度までの格付について、申立組合員以外の従業員に対する格付の運用の実態に応じ、これとの均衡を失しないよう是正するのが相当とされた例。
4419 現存格差を一挙に是正した例
4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
46年度以降の格付是正による差額支払いについて、年5分の割合による金員の支払いを命じ、かつ、将来同種の差別が生じないよう、差別することによる支配介入の禁止を命じた例。
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業種・規模 |
金融業、保険業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集62集315頁 |
評釈等情報 |
 
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