労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  ヴァンヂャケット 
事件番号  東京地労委 昭和48年(不)第99号 
東京地労委 昭和50年(不)第11号 
申立人  総評全国一般ヴァンヂャケット労働組合 
申立人  総評全国一般労働組合東京地方本部 
被申立人  株式会社 ヴァンヂャケット 
命令年月日  昭和52年10月 4日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合の上部団体を非難して組合員に組合脱退を勧誘し、団交申入時の混乱等を理由に組合員12名を3日間の出勤停止処分に付し、これに抗議した5名を更に1日の出勤停止または譴責処分に付した事件で、組合脱退勧奨行為の禁止、懲戒処分の取消し、バックペイ及び同処分を理由とする今後の不利益扱いの禁止を命じ、ポスト・ノーティスについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社ヴァンヂャケットは、職制をして、申立人組合員に対し「総評全国一般はよくない」などの言動をなさしめ、申立人総評全国一般ヴァンヂャケット労働組合または申立人総評全国一般労働組合東京地方本部からの脱退を勧誘させてはならない。
2 被申立人会社は、昭和50年2月28日付でなした申立人組合員X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7,同X8、同X9、同X10A,同X11、同X12に対する3日間の出勤停止処分を取り消し、同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払わねばならず、今後この処分を理由にいかなる不利益取扱いもしてはならない。
3 被申立人会社は、昭和50年3月10日付でなした申立人組合員X3、同X5、同X6に対する1日間の出勤停止処分を取り消し、同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払い、同X2、同X4に対する譴責処分を取り消し、同人らに対し今後これらの処分を理由にいかなる不利益取扱いもしてはならない。
4 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  5124 その他の審査手続
会社は、10月26日以後の会社職制の言動は、本件審査の対象でないというが、申立人最終陳述書、書証、人証等を総合すれば、実質的に本件審理の内容とされてきたのは明らかであり、救済申立ての趣旨たる支配介入を構成するものとして、その同一性の範囲内にあるものというべく、これによって会社側防禦権を不当に害したものとすることはできない。

1400 制裁処分
団交申入れ時の混乱やビラ貼付を理由として組合員12名に対して、3日間の出勤停止処分したことが当時の会社の対応の仕方、混乱の程度等からみて、一方的に責任を追及するもので不利益取扱いであるとされた例。

1400 制裁処分
出勤停止処分に抗議して就労した組合員5名を更に1日出勤停止処分または譴責処分したことが不利益処分とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
職制の言動が、その内容から組合または、その上部団体からの脱退勧誘とされた例。

2620 反組合的言動
組合員が、会社施設内で就業時間中に組合結成ビラを撒いた行為に対して、会社が処罰留保付の警告書を発したことが、別に処分もしていないことから不当労働行為でないとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
職制による組合又はその上部団体からの脱退勧誘の言動が、会社の責に帰すべき行為とされた例。

1400 制裁処分
3601 処分の程度
出勤停止処分に抗議して就労したことは、職場の規律違反であっても、その具体的行動が職場の空気を乱し、他の従業員の執務に支障をきたしたものではなく、この程度の行為をもって再度出勤停止処分等懲戒の対象とするのは行きすぎであるとされた例。

3608 動機の競合
組合の団交申入時の混乱等を理由とする出勤停止処分が、当日の会社側の対応の仕方、混乱の程度等からみて片手落な公正を欠く処分であり、不利益取扱いとされた例。

業種・規模  衣服・その他の繊維製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集303頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]