労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  鈴鹿市農業協同組合 
事件番号  三重地労委 昭和48年(不)第7号 
申立人  三重県単位農協労働組合鈴鹿分会 
申立人  三重県単位農協労働組合 
被申立人  鈴鹿市農業協同組合 
命令年月日  昭和52年 9月28日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  Y1常務の組合を中傷、誹謗する言動、組合脱退慫慂、ステッカー貼付者に対する賃金差別、組合要求記載ポールの撤去、分会長の出向命令及び懲戒解雇処分等をめぐる事件で、ポスト・ノーティス及び分会長ら5名の給与格付の是正と分会長については解雇の前日まで、他の4名については命令書受領日までの差額分の支給を命じ、分会長の出向命令及び懲戒解雇処分等については棄却した。 
命令主文  1 鈴鹿市農業協同組合は、下記のとおりの形式、内容の陳謝文をこの命令を受けた日より1週間以内の日から10日間鈴鹿市農協会館表入口に掲示しなければならない。
(1) 縦1メートル、横2メートルの板に直接墨書するか、又は記載された同形大の紙を貼付すること。
(2) 記載内容
          陳  謝  文
 鈴鹿市農業協同組合は、貴分会及び分会員を中傷、誹謗したり、貴分会員に対し、組合活動に参加しないよう慫慂したり、新採用職員の講習会において、新採用後1年間は組合活動をしないよう要望したり、貴分会の秋季年末闘争における要求を書込んだポールを撤去したりなどして、不当労働行為を重ねてきましたが、ここに深く陳謝し、以後このような不当労働行為を一切しないことを誓約致します。
    昭和 年 月 日
          鈴鹿市農業協同組合
           組合長理事 X1
    三重県単位農協労働組合殿
    三重県単位農協労働組合鈴鹿分会殿
2 鈴鹿市農業協同組合は、昭和48年4月に、三重県単位農協労働組合鈴鹿分会長X2、同分会員X3、同X4、同X5、同X6に対しての昇給、ベースアップに際して行った給与格付けを再検討し、その格付を修正し、昭和48年4月分から分会長X2については解雇の前日まで、その他の者については、本命令書受領の日までの差額分を支給しなければならない。
3 その余の申立はこれを棄却する。 
判定の要旨  3020 組合活動への制約
年末一時金要求書の提出と同時に農協のカウンター、事務机の上等に置いた組合の要求記載ポールは紙製の小型のもので、業務運営に何ら支障もなく記載内容も至極当然のもので、個数の過多のきらいはあってもY1常務の撤去行動に対抗するためであって、農協の分会に対する無理解な姿勢を併せ考えると、本件要求ポールは正当な組合活動の範囲内で使用者の受認範囲内のものと解すべきであり、それを使用者が勝手に撤去することは組合活動を妨害する支配介入の不当労働行為に当る。

0500 勤務成績不良
長期連続無断欠勤を理由とする分会長の懲戒解雇処分が不当労働行為でないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3608 動機の競合
ステッカー貼付を理由とする貼付者に対する昇給差別扱いが不当労働行為とされた例。

3102 争議対抗手段
年末一時金に関する団交遅延が支配介入に当るとの組合主張が斥けられた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
Y1常務の組合員に対する発言が、発言の場所、当時の労使関係からみて組合活動から手を引かせることを意図した支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
Y1常務の組合ステッカー貼付者に対する発言が支配介入に当らないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
Y2理事が組合員に腕章の取りはずしを求めたこと等が組合活動ないし運営に対して中傷、誹謗した支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
団交でY1常務が組合事務所の貸与、掲示板の設置要求について許可できない旨等発言したことが支配介入とは認められないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y1常務の新採用職員講習会での一定期間組合加入をしないよう示唆した発言が支配介入とされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
分会長X2の懲戒解雇処分が不当労働行為を構成しないことから同人の出向命令取消し申立てに理由があるとしても、もはや救済利益はないとされた例。

業種・規模  協同組合 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集254頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]