労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  岡本運輸倉庫 
事件番号  大阪地労委昭和47年(不)第77号 
申立人  全国自動車運輸労働組合東大阪支部 
被申立人  愛和運輸倉庫 株式会社 
被申立人  岡本運輸倉庫 株式会社 
命令年月日  昭和52年 9月13日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  経営難を理由とする会社の倒産後、同一事業目的の新会社が設立された事件で、両社は実質的に同一企業であり組合員排除を意図したものであるとして、新会社の業務への就労、年5分の割合による金員加算を含むバックペイ、及び誓約書手交を両社に命じた。 
命令主文  1 被申立人らは、X1、X2及びX3を、倒産直前の岡本運輸倉庫株式会社の労働条件と同等の労働条件で、速やかに愛和運輸倉庫株式会社の業務に就労させなければならない。
2 被申立人らは、共同して、X1、X2及びX3に対し、昭和47年6月30日までの未払賃金及び同年7月1日から愛和運輸倉庫株式会社の業務に就労させるまでの間同人らが岡本運輸倉庫株式会社の業務に従事していたならば支給されるはずであった賃金相当額(これらに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
3 被申立人らは、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
              記
                     年 月 日
 申立人代表者あて
                岡本運輸倉庫株式会社
                 代 表 者 名
                愛和運輸倉庫株式会社
                 代 表 者 名
 岡本運輸倉庫株式会社を倒産させて愛和運輸倉庫株式会社を設立したことは岡本運輸倉庫分会員らを排除するためになした不当労働行為であったことを認め、今後このようなことを繰り返さないことを誓約いたします。 
判定の要旨  1700 偽装解散
3105 事業廃止、工場移転・売却
O社の倒産及びA社の設立は、O社の計画的倒産により従業員らを就労できない状況に追い込んで未払賃金の支給と引換えに退職させ、かつ、事業自体は新会社A社の設立により維持しようとしたもので、その意図はY1社長の言動や会社の態度からみて分会員排除にあったと言わざるを得ず、不当労働行為と判断せざるを得ない。

4603 その他
4913 破産管財人
4916 企業に影響力を持つ者
A社は、その設立の経緯、株主、得意先等からみて実体はO社と実質的同一性を有し、労働関係をそのまま引継ぐべきものであるが、O社は企業としての実体がないものの形式上なお法人格を有している以上両社が共同して本件不当労働行為の救済命令を共同して履行すべき立場にあると解される。

1302 就業上の差別
会社倒産後の新会社への就労拒否が不当労働行為とされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
会社倒産後の未払賃金の差別扱い等が分会員なるが故の不利益取扱いであるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集228頁 
評釈等情報  労働法律旬報 昭和52年10月25日  938号 70頁 

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