労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中部経済新聞社 
事件番号  愛知地労委昭和50年(不)第19号 
申立人  新聞労連中部経済新聞労働組合 
申立人  X1外個人 29名 
申立人  日本新聞労働組合連合 
被申立人  株式会社 中部経済新聞社 
命令年月日  昭和52年 9月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員29名に対する昇格差別事件で、組合員15名に対する労委が特定した職分への昇格及び昇格に伴う本俸、役付手当の既支給分との差額の支給、昇格上の差別扱の禁止、誓約書の手交を命じ、組合員14名の昇格是正及び誓約書の掲示については棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社中部経済新聞社は、昭和49年10月1日付で、申立人X1及び同X2を主任に、同X3、同X4及び同X5を課長に、同X6、同X7、同X8、同X9、同X10及び同X11を部次長に、また、昭和50年4月1日付で、申立人X12を主任に、同X13を課長にそれぞれ昇格させ、同人らに対し、昇格に伴って支払うべき役付手当と支払済役付手当との差額を速やかに支払わなければならない。
2 被申立人株式会社中部経済新聞社は、昭和49年10月1日付で、申立人X14及び同X15を部長待遇に、また昭和50年4月1日付で、申立人X8、同X9、同X10及び同X11を部長待遇にそれぞれ昇格させ、同人らに対し、昇格に伴って支払うべき本俸及び役付手当と支払済本俸及び役付手当との差額を速やかに支払わなければならない。
3 被申立人株式会社中部経済新聞社は、申立人新聞労連中部経済新聞労働組合の組合員に対し、同組合の組合員であること及び正当な組合活動を行ったことを理由に、昇格上の差別扱いをすることによって、申立人新聞労連中部経済新聞労働組合の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人株式会社中部経済新聞社は、申立人日本新聞労働組合連合及び同新聞労連中部経済新聞労働組合に対し、下記誓約書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければならない。
             記
          誓  約  書
 株式会社中部経済新聞社は、職分の昇格に関し、新聞労連中部経済新聞労働組合の組合員を不当に差別し、もって同組合の運営に支配介入したことを陳謝し、今後、このような行為を繰り返さないことを誓約します。   昭和 年 月 日
   日本新聞労働組合連合
       中央執行委員長 X16 殿
   新聞労連中部経済新聞労働組合
       執行委員長   X17 殿
           株式会社中部経済新聞社
             代表取締役 Y1
5 申立人らのその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
会社における役職者の権限は慣行により運用されているのが実情で、昇格しても実際の業務内容に変化がないことから部長待遇以下の職分は業務上の必要性よりも賃金上の待遇とみられることから昇格は結局、勤続年数を基礎としてなされているとみるのが相当で、X1ら15人の勤務状態は少なくとも中程度であるが、同人らと同年入社者と比較するとそれぞれ差別扱いを受けていることから、同人らが差別扱いを受けるには特段の事情がなければならないところ、会社は、何ら主張及び疎明をしておらず、また、同人らは組合役員及び委員若しくはこれらの経験者又は活動家であり、会社からの脱退勧誘を拒否した者もいることを考え併せると、これら差別扱いは、同人らが組合員であること若しくは同人らの組合活動を嫌悪した不利益取扱いと判断するのが相当である。

3900 「不利益の範囲」
部長待遇以下の職分は職制上の階級ではなく賃金上の待遇とみるのが相当であるとされた例。

4415 賃金是正を命じた例
会社の昇給人事は一例外を除き1階級上位への昇格に限られていることから、組合員に対する不利益取扱いがなければ昇格し得た職分である1階級上位の職分に昇格を命ずるのが相当であるとされた例。

5124 その他の審査手続
救済を求める時点での救済内容の記載のない職分について、申立人らの意思が原状回復のため早い時期での昇格を求めていると解され、かつ同時点での疎明のある場合には同時点での救済を命じても差支えないとされた例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集197頁 
評釈等情報   

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