労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ゼネラル石油精製 
事件番号  神奈川地労委昭和46年(不)第13号 
神奈川地労委昭和50年(不)第36号 
申立人  全石油ゼネラル石油精製労働組合 
被申立人  ゼネラル石油精製 株式会社 
命令年月日  昭和52年 8月 5日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合のスト解除後もロックアウトを行い、ロックアウトの解除後も組合員の就労開始時期に区分を設けると共に就労させるにあたり組合員15名を配転し、さらに待機期間中の賃金のカット、スト等不就労につき日割で一時金カットを行ったこと、一時金の支給について組合間差別を行った等の事件で、不就労期間の賃金カット額と就労手当差額相当額の支給(年5分相当額の加算を含む。)、配転取消しと原職復帰、一時金のカット額と支給基準の是正に伴う差額相当額の支給及びポスト・ノーティスを命じ、1名の解雇撤回の申立てについては却下した。 
命令主文  1 被申立人は、別表1(省略)記載の者に対し、同表記載のとおり、昭和45年9月3日以降の未就労期間の賃金差額相当額および20,300円から各人の就労手当を差引いた差額相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合所属の従業員X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12、X13、X14(X15については本人死去につきこれを除く)について行った昭和45年9月22日付、同10月7日付、同10月14日付および同10月17日付の各配置転換命令を取り消し、同人らを原職に復帰させなければならない。
3 被申立人は、別表2(省略)記載の者に対し、同表記載のとおり、昭和45年年末一時金のカット額相当額を支払わなければならない。
4 被申立人は、昭和45年12月17日付で行ったX16に対する訓戒処分およびX17に対する譴責処分を取り消さなければならない。
5 被申立人は、申立人組合所属の従業員に対する昭和49年夏期および年末一時金の支給基準を、全ゼネラル石油精製労働組合所属の従業員に対して行った支給基準と同等にし、差額相当の0.15か月分を支給しなければならない。
6 被申立人は、上記1、3および5の支払額に対して、それぞれ年5分相当額を加算して支払わなければならない。
7 被申立人は、縦1メートル以上、横2メートル以上の白色木板に下記のとおり、明瞭に墨書し、被申立人の本社、川崎製油所および堺製油所の各正面入口の見易い場所に毀損することなく14日間掲示しなければならない。
              記
  全石油ゼネラル石油精製労働組合
      中央執行委員長 X16 殿
 会社の行った下記諸行為は、貴組合の弱体化を意図して行った貴組合員に対する不利益取扱いであり、かつ貴組合に対する支配介入であるとして、今般神奈川県地方労働委員会から労働組合法第7条に違反する不当労働行為である旨認定されました。
 よって、ここに陳謝の意を表するとともに、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
1 昭和45年9月3日以降、貴組合員の就労を貴組合の脱退者と差別したこと。
2 就労手当の支給について、貴組合員を貴組合の脱退者と差別したこと。
3 昭和45年9月以降の就労に際し、貴組合員多数を不当に配置転換したこと。
4 昭和45年貴組合員11名に対し、試傭期間延長の措置をとったこと。
5 昭和45年年末一時金について、ストライキ、ロックアウトおよびロックアウト解除後の未就労期間に応じて減額支給したこと。
6 昭和45年12月17日付でX16氏を訓戒処分に、X18氏を譴責処分にしたこと。
7 昭和49年夏期および年末一時金の支給について、貴組合員を他組合の組合員と差別したこと。
   昭和 年 月 日
           ゼネラル石油精製株式会社
              代表取締役 Y1
8 昭和51年9月13日付で追加申立てされたX19解雇撤回に関する救済申立は却下する。 
判定の要旨  1204 スト・カット
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が、ストライキ中の不就労、ロックアウト中および解除後の不就労につき日割りで一時金をカットするという烈しい個人差を生む年末一時金改定案を提示し、終始これに固執し、別組合の支給日に至ってやむなくこれを受けざるを得ないよう追い込んだことは、組合員に対する不利益取扱いであり、組合への支配介入である。

1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
ロックアウト解除後の就労にあたり組合員に対して行った就労待機、区分就労および配置転換は、この期間の組合脱退者には就労を認めていることについての正当性を肯定するに足る理由のないこと、就労順序を決定する基準を組合員の過去の言動を一方的に評価して決定していること、適性を考慮しての配転とは認められないこと等からみて、これらの諸措置を利用して組合員に対して不利益を課し、それによって組合脱退を助長して組合の弱体化を図ったものである。

1400 制裁処分
無断職場離脱あるいは上司とのトラブルを理由に組合員を訓戒ないし譴責処分に付したことが不利益取扱いとされた例。

1500 不採用
試傭期間延長の措置により組合員の本採用を遅らせたことが不利益取扱いとされた例。

3500 処分の時期
試傭期間延長の措置が、区分就労による組合員差別が行われ職制による組合脱退勧誘が行われた時期であることから不当労働行為とされた例。

3604 労働者に落度がある場合
無断職場離脱あるいは上司とのトラブルを理由に訓戒ないし譴責処分に付したことが、前例のないこと等から不当労働行為とされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
組合員X17の譴責処分についての不当労働行為申立後に、同人が組合を脱退しても被救済利益は失われないとされた例。

4102 承認・合意
一時金支給の確認書の押印にあたり、組合が残金請求権を放棄しない旨明言している以上、カット分の支給を求める被救済利益は失われていないとされた例。

5200 除斥期間
組合員の懲戒解雇に関する申立てが除斥期間徒過により却下された例。

業種・規模  石油製品・石炭製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集129頁 
評釈等情報   

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