労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本交通 
事件番号  北海道地労委昭和51年(不)第31号 
申立人  帝産自動車労働組合 
被申立人  日本交通 株式会社 
命令年月日  昭和52年 6月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社提案の新賃金体系を拒否したことを理由に夏季一時金、越冬手当を支給せず、また貸付金、拘束金等について差別した事件で、越冬手当支給、貸付金制度の適用にあたって差別扱いの禁止、夏季一時金・越冬手当を団交により決定し支給する支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、陳謝文の新聞掲載等については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、越冬手当の支給に関し非組合員である従業員にのみこれを支給したり、貸付金制度の適用にあたって非組合員であることを条件とするなどして、申立人組合員を差別扱いしてはならない。
2 被申立人は、申立人の組合員に対する昭和51年度夏季一時金及び越冬手当を、申立人との団体交渉によって決定して、支給しなければならない。
 なお、越冬手当については、被申立人が申立人組合員を除く他の従業員に対し既に支給している越冬手当の金額を参酌して決定しなければならない。
3 被申立人は、非組合員にのみ越冬手当を支給したり、貸付金制度の適用にあたって非組合員であることを条件とするなどして申立人組合員を差別したり、従来と異なる賃金体系を一方的に押しつけたり、夏季一時金の支給を拒否するなどして申立人の弱体化を図り、その運営に支配介入してはならない。
4 被申立人は、下記内容の陳謝文を縦 1.5メートル、横2メートルの木製厚板に楷書で墨書し、会社玄関前の見易い場所に、命令交付の日から10日間掲示しなければならない。
              記
           陳  謝  文
 会社が、非組合員にのみ越冬手当を支給したり、貸付金制度の適用にあたって非組合員であることを条件とするなどして貴組合員を差別扱いしたり、従来と異なる賃金体系を一方的に押しつけたり、夏季一時金の支給を拒否するなどした行為は、貴組合の弱体化を図りその運営に支配介入したものであって、労働組合法第7条に該当する不当労働行為でありました。
 ここに深く陳謝するとともに、今後再びこのような行為を繰り返さないことをお誓いいたします。
                  昭和 年 月 日
  帝産自動車労働組合
    執行委員長 X1 殿
            日本交通株式会社
             代表取締役 Y1
5 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  3422 その他の者の言動
帝産ハイヤー事業部の譲渡契約が締結されて以来、経営全般及び雇用関係は交運(事業協同組合)ないし会社設立発起人に継承され、以後の経営一切は交運のY2理事が行ってきたこと、同人の新賃金体系をめぐる態度からみると会社の経営ないし労務対策は、その発起人時代を通じ一貫した方針が貫かれていたことがうかがわれ、交運あるいはその傘下にある発起人会及び会社の設立後における会社の一連の行為を併せ考えると、設立以前の労使関係が会社に無関係であるとはいえず、Y2理事による差別取扱いは会社の行為と評価するのが相当である。

1201 支払い遅延・給付差別
新賃金体系拒否を理由に、組合員に対して夏季一時金、越冬手当を支給せず、貸付金、拘束金等に関する便宜供与を拒否したことが不当労働行為とされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集551頁 
評釈等情報   

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