概要情報
事件名 |
大村運送 |
事件番号 |
兵庫地労委昭和51年(不)第17号
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申立人 |
全国自動車運輸労働組合神戸支部源平運送分会 |
被申立人 |
大村運送 株式会社 |
被申立人 |
中本商事 株式会社 |
命令年月日 |
昭和52年 6月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
分会結成直後に会社の休業乃至廃業を通告したこと、事業再開にあたり分会員に仕事を与えなかったこと、営業所の強行移転を実施したこと、賃金を減額あるいは支給しなかったことをめぐる事件で、被申立人会社二社共同で平均賃金による未払賃金相当額の支払い、分会に対する陳謝文の送付を命じ、将来に亘る就労機会の保障、無期限スト突入以降の賃金相当額の支払いについては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人らは、共同して申立人分会の分会員に対し、昭和51年5月21日から同年7月20日までの、同年2月分乃至4月分の平均賃金による、未払賃金相当額を支払うこと。 2 被申立人らは各自、下記の内容を記載した申立人分会宛の文書を、本命令後速やかに同分会代表者に郵送すること。 記 昭和51年5月2日旧源平運送株式会社の休業乃至廃業を通告したこと、同年5月19日大村運送株式会社の事業再開に拘らず、同年7月20日頃まで貴分会員に殆んど就労の機会を与えなかったこと、同年6月下旬同会社の営業所の移転を強行したこと、並びに同年7月28日味泥の同会社旧営業所の建物を取り壊したことは、いずれも当会社の不当労働行為であることを認め、ここに陳謝すると共に、今後このようなことのないよう注意します。 3 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
G運送は資本関係、役員構成、営業内容等の面でN商事の支配を受け、恰かも同商事の運送部門の観を呈し、またそれによってN商事は低廉で安定した輸送機関を確保する利益を得ていたということができ、これら両者の関係は、G運送の労務政策乃至労働条件の決定に対するN商事の支配的影響力として反映したものと思われ、N商事はG運送と共にG運送の従業員に対し労組法上の使用者の地位にあったものと考えられる。
1201 支払い遅延・給付差別
分会員の不就労が不当労働行為によるものであることから組合がストに突入するまでの間の給与不払いも不当労働行為とされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
分会員が就労できなかった理由は会社の不当労働行為によるものであったとしても、組合が指名ストに突入した以上給与を支払わないことが不当労働行為でないとされた例。
1302 就業上の差別
事業再開後分会のストライキ実施までの間分会員にほとんど仕事を与えなかったことが不当労働行為とされた例。
1800 会社解散・事業閉鎖
会社の休業乃至廃業通告が、分会員の就労機会を奪う不当労働行為とされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
営業所移転後旧営業所の現に使用している組合事務所を取り壊わしたことが支配介入とされた例。
4614 文書手交のみを命じた例
会社の支配介入に対して、ポスト・ノーティスの請求にかわり文書手交を命じた例。
4916 企業に影響力を持つ者
O運送の営業、労務その他業務全般に亘り支配的影響力をもつN商事は、O運送の従業員に対してO社ともに労組法上の使用者の地位にあるとされた例。
4916 企業に影響力を持つ者
G運送及びその後、同運送が商号を変更したO運送の不当労働行為につき同運送を買収したN商事はO運送と共同してその責を負うべきものとされた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集61集528頁 |
評釈等情報 |
 
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