労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  八峯テレビ技術 
事件番号  東京地労委昭和50年(不)第4号 
申立人  民放労連東京地区労働組合 
申立人  民放労連東京地区労働組合八峯テレビ支部 
申立人  日本民間放送労働組合連合会 
申立人  日本民間放送労働組合連合会関東地方連合会 
被申立人  株式会社 八峯テレビ技術 
命令年月日  昭和52年 6月 7日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合脱退を勧奨し、組合を誹謗中傷し、配転・人事問題に関する労働協約締結要求・社長名文書の撤回などに関する団交を拒否した事件で、組合を誹謗する等して支配介入行為の禁止、配転・社長名文書撤回問題に関する団交応諾を命じ社長の発言及びその余の団交に関しては申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社八峯テレビ技術は、会社従業員である申立人民放労連東京地区労働組合八峯テレビ支部組合員に対し、申立人ら組合を誹謗したり、組合の存在価値を否定するなどの言動によって申立人ら組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人は、次の事項について申立人支部と団体交渉を行なわなければならない。
(1) 申立人支部が昭和49年12月3日に申し入れた報道中継への配置転換問題。
(2) 申立人支部が同月8日に申入れた社長名の文書撤回問題。
3 被申立人は、申立人日本民間放送労働組合連合会、同日本民間放送労働組合連合会関東地方連合会、同民放労連東京地区労働組合、同民放労連東京地区労働組合八峯テレビ支部のそれぞれに対して、下記文書を配達証明郵便で送付しなければならない。
              記
                  昭和 年 月 日
   日本民間放送労働組合連合会
    中央執行委員長 X1 殿
   日本民間放送労働組合連合会関東地方連合会
    執行委員長   X2 殿
   民放労連東京地区労働組合
    執行委員長   X3 殿
   民放労連東京地区労働組合八峯テレビ支部
    支部執行委員長 X4 殿
             株式会社 八峯テレビ技術
              代表取締役 Y1
 当社が、昭和49年12月社長名で貴支部組合員に送付した文書によって貴組合を誹謗したり、貴組合の存在価値を否定したこと並びに貴支部が昭和49年12月3日に申入れた報道中継への配置転換問題についての、また貴支部が同月8日に申入れた社長名の文書撤回問題についての団体交渉を拒否したことは不当労働行為であると、東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注、年月日は文書を発送した日を記載すること。)
4 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
経営者の意見表明が組合の行動に対する対抗行為として現状の認識、組合要求に対する反論、実情説明等のための情報活動にとどまる限り、組合員、家族に対して意見表明を行うことは許されるが、本件社長名文書は、組合の存在価値を否定し、組合の存在が会社の経営状態悪化の原因であるかの如き感を与えるものであり、しかも組合が闘争を続けている時期に郵送されていることからみて組合員に動揺を与える等を意図したもので、会社の言論の自由の範囲を越えるものであり支配介入である。

2249 その他使用者の態度
会社が配布した社長個人名の文書の撤回に関する団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2301 人事事項
「報道中継」への配転は団交事項でないとして団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員との懇談会の席上で社長の発言が、組合からの脱退を勧誘したものとは認められないとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
テレシネ職場からの配転問題についての団交拒否問題は、その後同職場は廃止され、他職場に就労していること等から、改めて救済を与える必要はないとされた例。

4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
人事問題に関する労働協約の締結要求についての団交拒否問題は、申立後団交が行われ、会社案も示されているのですでに救済利益は失われているとされた例。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集500頁 
評釈等情報   

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