労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本航空 
事件番号  東京地労委昭和50年(不)第127号 
申立人  日本航空客室乗務員組合 
被申立人  日本航空 株式会社 
命令年月日  昭和52年 5月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合活動家等の客室乗務員を同一課に集中配置し、研修生に対する世話役として別組合員を任命し、別組合への宣伝活動上の便宜を供与し、管理職が組合誹謗、別組合加入勧誘し、さらに管理職研修に際して別組合役員を講師として招へいした事件で、客室乗務員の再配置、研修生に対する世話役が、別組合の活動を助勢することのないよう配慮する及び支配介入の禁止及び研修生との連絡等の便宜供与に関し、別組合との差別の禁止等を命じ、管理職研修の講師として別組合役員を招いたこと等は棄却された。 
命令主文  1 被申立人日本航空株式会社は、客室乗務員の再配置を行なわなければならない。この場合、会社は申立人組合員を特定の室・課にことさら偏在させてはならない。
2 被申立人会社は、地上研修生に対する世話役が、併存する他組合の活動を助勢することのないよう配慮しなければならない。

3 被申立人会社は管理職をして、申立人組合からの脱退や特定の組合への加入を勧誘させてはならない。
4 被申立人会社は、地上研修生との連絡等の便宜供与に関して、併存する他組合と申立人組合を差別してはならない。
5 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1300 転勤・配転
3500 処分の時期
 客室乗務員である組合活動家等を特定の課に集中配置し、新人スチュワーデスはすべて組合脱退者の下におく新配置を実施したことは、組合脱退者が組合脱退を勧誘していたこと、並びに、二組合併存下で、会社が別組合の育成、組合の組織拡大の阻止の手段をつぎつぎ採っていた時期になされていること等を考慮すると申立人組合の組合員の増大を阻止し、別組合員の増大を待望する方針にもとづいてなされた面があるという他はなく、その他会社が新配置を必要とした事情等を総合しても会社の意図の存在を否定できない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
 管理職が新人研修生に対して別組合の加入を勧誘し、組合を誹謗したことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
 管理職3名の組合脱退を勧誘する発言が支配介入とされた例。

2901 組合無視
 新入社員に対するオリエンテーション開催に当って別組合に対してのみ便宜を供与したことが支配介入とされた例。

3106 その他の行為
 新人研修生に対する世話役に別組合のみを任命したことが支配介入とされた例。

3106 その他の行為
 管理職研修の講師として別組合の書記長を招いたことが不当労働行為とはいえないとした例。

3422 その他の者の言動
 N本部に委託した管理者研修の講師として別組合の書記長を招いたことが使用者に帰責すべき不当労働行為でないとされた例。

4411 配転・転勤・出勤停止・下車勤等の場合
 客室乗務員の再配置を命ずるに当り、組合活動家ないし新人スチュワーデスを特定の室・課に集中してはならないとした例。

業種・規模  航空運輸業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集458頁 
評釈等情報  労働判例 1997年9月15日  279号 72頁 

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