労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  相互交通 
事件番号  北海道地労委昭和50年(不)第46号 
北海道地労委昭和51年(不)第26号 
申立人  全自交中央ハイヤー労働組合 
被申立人  相互交通 株式会社 
命令年月日  昭和52年 5月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合役員に対する賃金カット、一時金等の支給拒否、労使協定・確認書の破棄通告、不誠意団交をした事件で、春闘要求に対する団交応諾、一時金及び燃料手当を団交で決定して支払うこと、賃金カット分の支払、支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人が申し入れた、昭和50年4月17日付要求書に関する団体交渉に、誠意をもって応じなければならない。
2 被申立人は、申立人の組合員に対する、昭和50年度夏季一時金、年末一時金及び燃料手当を、申立人との団体交渉によって決定して、支給しなければならない。
3 被申立人は、申立人の組合役員X1、同X2、同X3、同X4及び同X5に対して行った、昭和50年8月26日付の賃金カット処分を取り消し、その賃金カット相当分を同人らに支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人が申し入れた団体交渉に不誠意な態度をとり続けて、申立人組合員に、各一時金、手当などを支給しなかったり、労使間における確認事項を無視して申立人組合役員に対して賃金カット処分を行ったり、一方的に諸協定及び確認事項などの破棄通告を行うなどして、申立人組合員に動揺を与え、申立人の運営に支配介入してはならない。
5 被申立人は、下記内容の陳謝文を、縦 1.5メートル、横2メートルの木製厚板に楷書で墨書し、会社正面玄関の見易い場所に、命令交付の日から2日以内に10日間掲示しなければならない。
              記
            陳 謝 文
 会社は、貴組合役員に対し賃金カット処分をしたり、貴組合が申し入れた団体交渉に対し不誠意な態度をとり続け、貴組合員に対する各一時金、手当などの支給を拒否したり、さらに貴組合と締結した諸協定、確認書、従来慣行としていた労働条件を一方的に破棄する通告を行って貴組合員に動揺を与え、貴組合の弱体化を図りました。
 このことは、明らかに労働組合法第7条1・2・3号に該当する不当労働行為でありました。ここに深く陳謝いたしますとともに、今後かかる行為を絶対に繰り返さないことをお誓いいたします。
          昭和 年 月 日(命令交付日)
  全自交中央ハイヤー労働組合組合員 各位
            相互交通株式会社
             代表取締役 Y1
6 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
例年組合に対して一時金などを支給してきたし、50年度夏期一時金も春闘問題と同時解決したい旨述べていたのに、組合が会社の新賃金体系案を拒否するや、労使協定等の破棄通告、団交拒否、賃金カットを行い、再開された団交においても、50年度金銭要求については一切支払わない旨述べてその姿勢を変えていないことさらに同業界では一時金が支払われていることから考えれば、組合員に一時金などの支払を拒否していることは不利益取扱いである。

2249 その他使用者の態度
組合が賃金体系に関する会社新提案を受諾しないとみるや、社長は労使諸協定・確認事項の破棄通告を行い、以後組合の申入れる団交を正当事由もなく11カ月間拒否し、再開された団交においては、50年度春闘問題は一時金要求とともに団交の議題となったが先の団交議題であった50年度の組合の金銭要求について、一切支払わない旨述べた会社の態度は、誠意ある団交を行ったものとはいえない。

1203 その他給与決定上の取扱い
就業時間内の組合執行委員会に出席したことを理由にその間の賃金をカットしたことが不当労働行為とされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
前年度の一時金などの支払を拒否し続けている会社の態度が支配介入であるとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
団交で賃金体系に関する会社の新提案が受け入れないとみるや労使協定・確認事項などの破棄通告をしたことが支配介入とされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集446頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]