労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  長野鍛工 
事件番号  長野地労委昭和49年(不)第20号 
長野地労委昭和51年(不)第6号 
申立人  長野県機械金属単一労働組合長野鍛工分会 
被申立人  長野鍛工 株式会社 
命令年月日  昭和52年 4月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  プラカードや組合旗の撤去、ビラ配布に対する警告書、拡声器の使用禁止、昇給及び一時金差別、不誠意団交、組合員X1を班長に昇格させなかったこと、掲示板の貸与拒否等をめぐる事件で、賃金、一時金の修正、差額の支払、賃金差別の禁止、組合活動の妨害禁止、団交における組合間差別の禁止、掲示板の貸与、ポスト・ノーティスを命じ、X1の昇格については棄却し、申立1年以前の賃金、一時金の差別額の是正に関する申立は却下した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X2、X3、X4、X1、X5、X6及びX7の昭和48年12月分以降の賃金を、次により修正し、既に支給した分については、修正した額との差額を支払わなければならない。
(1) 昭和46年6月1日付昇給から昭和50年4月1日付昇給までの各昇給における出勤稼働配分について、ストライキ、プラカード撤去に対する抗議行動及び本件不当労働行為救済申立事件の審査手続のための不就労を、減点対象から除外して再計算すること。
(2) 昭和46年6月1日付昇給から昭和50年4月1日付昇給までの各昇給における是正配分について、各人の額を有資格者1人平均額とすること。
2 被申立人は、申立人組合員X8、X9及びX10の昭和50年4月分以降の賃金を、次により修正し、既に支給した分については、修正した額との差額を支払わなければならない。
(1) 昭和50年4月1日付昇給の出勤稼働配分について、ストライキを減点対象から除外して再計算すること。
(2) 昭和50年4月1日付昇給の是正配分について、各人の額を有資格者1人平均額とすること。
3 被申立人は、申立人組合員X2、X3、X4、X1、X5、X6及びX7については、昭和49年及び昭和50年の夏季・年末一時金を、申立人組合員X8、X9及びX10については、昭和50年夏季・年末一時金を、それぞれ次により修正し、既に支給した額との差額を支払わなければならない。(ただし、X3については、昭和50年年末一時金を除く。)
(1) 出勤稼働配分について、ストライキ及び本件不当労働行為救済申立事件の審査手続のための不就労を、減点対象から除外して再計算すること。
(2) 調整配分のうちの是正分については、各人の額を有資格者1人平均額とし、X2の役付分についても平均ランクの額とすること。また、勤続分、作業分、役付分、是正分の配分比率は、被申立人会社の支給実績により、勤続分、作業分の算出方法は、被申立人会社の支給基準によること。
(3) 基本給については、主文1及び同2によって修正した基本給を再計算の基礎とすること。
4 被申立人は、申立人組合に所属する組合員に対し、申立人組合に所属すること、又は組合活動をしたことを理由に、賃金等の待遇に関し差別をしてはならない。
5 被申立人は、申立人組合が掲げるプラカードや組合旗を撤去したり、機関紙配布に対して警告書を交付したり、携帯用拡声器の使用を禁止するなどして、被申立人会社構内における申立人組合の正当な組合活動を妨害してはならない。
6 被申立人は、申立人組合との団体交渉に際して、交渉日時、交渉委員等について、申立外長野鍛工労働組合との間に、差別的取扱いをしてはならず、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。
7 被申立人は、申立人組合に対し、申立外長野鍛工労働組合と同等の大きさの掲示板を貸与しなければならない。
8 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記の誓約書を申立人組合に手交するとともに、同文を縦1メートル、横 1.5メートルの木板に墨書して、被申立人会社事務所付近の従業員の見やすい場所に、7日間掲示しなければならない。
              記
            誓 約 書
 当社は、貴組合の組合員に対し、賃金及び夏季・年末一時金の支給に当たって、他の従業員との間に差別扱いを行ってきました。
 また、貴組合の会社構内における組合活動を妨害したり、団体交渉に際しても誠意をもって交渉するという姿勢に欠けていました。
 これらの行為は、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約いたします。
  昭和 年 月 日
  長野県機械金属単一労働組合長野鍛工分会
   執行委員長 X2 殿
          長野鍛工株式会社
           代表取締役社長 Y1
9 申立てのうち、昭和46年6月分から昭和48年11月分までの賃金支給における差別額の是正及び昭和46年から昭和48年の夏季・年末一時金までの支給における差別額の是正に係る部分については、これを却下する。
10 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  5200 除斥期間
組合は昇給における査定によって生じた格差を各年の昇給時までさかのぼり、すべての差額の支払を求めるが、早急な救済を目的とする労組法が申立ての期間を1年間と定めていることから、毎月の賃金支払行為は、形のうえではそれぞれ別個の行為であり、申立前1年以内を審査及び救済の対象とする。

1204 スト・カット
賃金及び一時金の出勤稼働配分においてスト及び抗議行動による不就労を減点対象とし、累積した格差のある賃金及び一時金を支給したことが不当労働行為とされた例。

1202 考課査定による差別
賃上げ及び一時金の考課配分について組合員を低位にランクし、累積した格差ある賃金並びに格差ある一時金を支給したことが不当労働行為とされた例。

1202 考課査定による差別
組合員X2の賃上げ配分のうち役付分の査定に不利益があり、これに基づき一時金を支給したことが不当労働行為とされた例。

1200 降格・不昇格
組合員X1を班長に昇格させないことが不当労働行為でないとされた例。

2246 併存団体との関係
交渉日時、交渉委員等について別組合と差別的取扱いをしたことが不当労働行為とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
別組合に掲示板を貸与しながら申立人組合に貸与しなかったことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
プラカードや組合旗の撤去を繰り返したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
会社構内における機関紙等の配布について警告書を交付したことが支配介入とされた例。

3106 その他の行為
組合集会のための携帯用拡声器の使用について禁止する旨通告したことが支配介入とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
賃上げ及び一時金の出勤稼働配分においてスト等を減点対象としたことについて、スト及び抗議行動による不就労を減点対象から除外して再計算を命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
考課査定によって生じた格差の救済として組合員各人の額を、有資格者の1人平均額に修正を命じた例。

4413 給与上の不利益の場合
申立時点において数年分の格差が累積している場合は、不当労働行為の審査に当って、賃金支給行為に現われる数年分の格差の全額が審査の対象となるとされた例。

業種・規模  鉄鋼業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集388頁 
評釈等情報   

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