労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  社会保険診療報酬支払基金 
事件番号  大阪地労委昭和46年(不)第51号 
大阪地労委昭和50年(不)第36号 
申立人  X6、X7、X8 
申立人  全国社会保険診療報酬支払基金労働組合大阪支部 
申立人  X1、X2、X3、X4、X5 
被申立人  社会保険診療報酬支払基金 
被申立人  大阪府社会保険診療報酬支払基金 
命令年月日  昭和52年 3月10日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員8名に対して昇給・昇格を遅延させた事件で、昇給・昇格の是正、バック・ペイ(年5分の割合による金員を含む)及び文書手交を命じ、昇給、昇格、身分、職務内容等一切の処遇上の不利益取扱いの禁止及び大阪基金の被申立人適格については棄却した。 
命令主文  1. 被申立人社会保険診療報酬支払基金は、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7(以下、それぞれ姓のみによって表示する)に対して、下記の各措置を行ったものとして、同人らを、昭和45年10月 1日以降本件審問終結時(昭和50年12月16日)までの間、それぞれ格付されたであろう各等級号に格付けするとともに、昭和45年10月 1日以降同格付けによって得たであろう賃金相当額(ただし〔判定事項44〕、既に支払った金員を除き、その未払金に対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
              記
(1) X6及びX7に対して行った別表1記載の昇給延伸等がなされなかったものとすること
(2) X1、X2及びX3が、それぞれ別表2記載の各期日に3等級その2(現行5等級)に昇格したものとすること
(3) X4、X5、X6及びX7が、それぞれ6等級9号俸を受けた後の直近の昇格時期に5等級に昇格したものとすること
(4) 社会保険診療報酬支払基金に採用された後、X1及びX2が10年を、またX3、X4、X5、X6及びX7が15年をそれぞれ経過した翌月1日付けで各4等級に昇格したものとすること
2. 被申立人社会保険診療報酬支払基金は、X8に対して、昭和41年10月 1日の定期昇給3ヵ月の延伸を行わなかったものとして、同人を、昭和45年10月 1日以降本件審問終結時(昭和50年12月16日)までの間、格付けされたであろう6等級の各号に格付けするとともに、昭和45年10月 1日以降同格付けによって得たであろう賃金相当額(ただし、既に支払った金員を除き、その未払金に対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。
3. 被申立人社会保険診療報酬支払基金は、申立人全国社会保険診療報酬支払基金労働組合大阪支部に対して、下記の文書を手交しなければならない。
              記
                     年 月 日
    申立人組合代表者あて
              社会保険診療報酬支払基金
                代表者名
 当基金は、当基金が貴支部所属のX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の各氏に対する昇給、昇格遅延の是正を行わなかったことは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。
4. 申立人らのその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  4905 経営補助者
O基金は基金の従たる事務所として、設けられたものであるが、幹事長は、裁判上、裁判外の一切の権限を有するから、O基金は、本件に関し使用者たる立場を免れないが、O基金は基金と同一事項につき同時に被申立人とすることは特別の事情がない限り失当である。

5201 継続する行為
なされるべき、昇給・昇格を行わなかった使用者の各不作為は、それぞれ発令さるべき時点で終了しているものと考えるのが相当であるが、なされるべき昇給、昇格が申立日の1年前以内においてもなお行われてない場合は、その不作為を審査の対象とし、かつ、その限りにおいてなされるべき昇格を命じることは継続する行為とは無関係の事柄であって何ら差し支えない。

1201 支払い遅延・給付差別
勤務成績不良等を理由とする申立組合員らに対する昇給延伸等が不当労働行為とされた例。

1200 降格・不昇格
勤務成績不良でかつ班長として不適格であること等を理由に申立組合員らを5等級あるいは4等級に昇格させなかったことが不当労働行為とされた例。

4415 賃金是正を命じた例
昇格遅延の救済として、格付けによって得たであろう賃金相当額の支払いに年5分の割合による金員の付加を命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
昇給延伸、昇格延期等の是正として、申立日の1年前以降本件審問終結時までの間、それぞれ格付されたであろう各等級号に是正を命じた例。

4415 賃金是正を命じた例
昇格延期の是正として、同時期採用の別組合員の大多数の者が昇格したと同じ条件で5等級に、その中位数の者の経験年数と同じ条件で4等級に昇格したものとするのが相当であるとされた例。

業種・規模  社会保険、社会福祉 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集232頁 
評釈等情報  労働判例 1977年 6月 1日  272号 58頁 

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