概要情報
事件名 |
ニチモウ |
事件番号 |
大阪地労委昭和51年(不)第16号
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申立人 |
総評・繊維労連ニチモウキグナス労働組合大阪地方支部 |
被申立人 |
ニチモウ 株式会社 |
被申立人 |
ニチモウ 株式会社 大阪営業所長 |
命令年月日 |
昭和52年 2月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
営業所長が組合支部からの年末一時金の査定結果を組合及び組合員に明示することほか4項目についての団交申入れを団交議題が、全社共通事項であること、支部の交渉権限が明らかでないこと等を理由に拒否した事件で、会社に対して団交応諾を命じ営業所長との団交開催及びポスト・ノーティスについては棄却した。 |
命令主文 |
1. 被申立人ニチモウ株式会社は、昭和50年12月 2日、申立人総評・繊維労連ニチモウキグナス労働組合大阪支部から申入れのあった諸事項について、大阪営業所長若しくはその他の者により、大阪営業所内又はその近接地域において団体交渉を開催しなければならない。 2. 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
申立人支部は、労働組合としての性格を備えていることから当然に支部自体としての団交権を保有している。さらに、組合は、組合規約、支部規約により、会社に対して、支部に団交権を与えていると明確にしていること、交渉権限をどのように配合するかは、組合内部において自主的に決すべき問題であることからみて、会社及び営業所長は、申立人支部からの団交申入れに誠意をもって応じなければならない。
4905 経営補助者
労働組合法上の、「使用者」は必ずしも狭義に解する必要はなく、不当労働行為の態様が、単なる事実行為の場合は労働者と対向する関係にあって、企業主体たる使用者のために、会社の機構上労務管理の権限を行使する者も、使用者に含めてしかるべきで本件営業所長が組合支部との団交の直接の当事者としての責任ある地位にあることからみて被申立人適格を有すると認められる。
2248 実質的権限のない交渉担当者
営業所長に職務上の権限がないことを理由に団交を拒否したことが不当労働行為である。営業所長は職務上の権限を越える場合には、誠意をもって交渉にあたり、支部の要求を本社に伝え、本社からの指示を仰ぐべきであり、単に権限がないことを理由に団交を拒否できない。
2214 上部と傘下組合の交渉範囲
申立人支部が独自の団交権を有する以上、団交は組合、本社間で行うことが労使慣行であるとの主張をするが、従前支部と営業所長との間で労使協議会が開催され、両者間で協定が締結されていたこと、団交要求事項は支部組合員に対する査定や、欠員補充、増員等の要求であり、むしろ、支部が営業所長に対して、団交申入を行うのは当然であって、会社主張は団交拒否の正当理由とならない。
2216 その他
労使協議会での話し合いを提案し、申立人支部との団体をかたくなに拒否する態度は、団交を応諾したものとはいえない。
4505 その他
団交拒否の救済として、会社あて団交応諾を命ずれば足り、会社の一下部機構にすぎない営業所長に対して同様の命令を別個に命ずる必要はない。
4820 単一組織の支部・分会等
申立人支部は、組合とは別個の規約を有し、代表者を定め、組合の統制と規律に服することがあっても、支部独自の活動のために、独自に決議機関、執行機関等を設け、その他労組法上具備すべき要件を満たしており、当事者適格が認められる。
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業種・規模 |
繊維工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集61集124頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 岡村 親宣 昭和52年 3月25日 924号 37頁 
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