概要情報
事件名 |
丸善ミシン |
事件番号 |
大阪地労委昭和47年(不)第68号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部丸善ミシン支部 |
被申立人 |
丸善ミシン 株式会社 |
命令年月日 |
昭和52年 1月18日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
昭和47年夏期一時金において申立人組合の組合員を低く査定した事件で、考課査定の是正と差額相当額 (年 5分の割合による金員を付加) の支払およびポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、別紙記載の申立人組合員X1に対して、昭和47年夏期一時金における査定を次のように是正し、それによって生じた差額相当額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。 (1) 申立人組合員X2、同X3、同X4、X5、同X6及びX7の査定について、それぞれ規律びん乱行為によるマイナス査定がなかったものとすること。 (2) 上記6名を含む本件査定時における一般従業員である組合員の査定分布が下表記載の非組合員の査定分布と同様になるよう再査定すること。 ただし、この再査定にあたっては、各申立人組合員の従来の査定を、同人らに不利益に変更してはならない。
査定ランク A B C D E ゼロ
非組合員査定分布(%)22.4 30.2 23.0 14.9 8.3 1.2
2 被申立人は、申立人組合員X1に対して、昭和47年夏期一時金における査定をCランクに是正し、それによって生じた差額相当額(これに対する年5分の割合による金員を含む)を支払わなければならない。 3 被申立人は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者あて 被申立人 代 表 者 名 当社は、昭和47年夏期一時金において貴組合員を不当に低く査定し、不利益な取扱いを行いました。これは、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します。 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
査定は、雇用契約上の職務内容の遂行度を対象とすべきものであるから、残業中の職務遂行度を対象とするならばともかく夏期一時金の査定において、従業員に強制し得ない残業の単なる時間数を査定の対象としたこと、また、業務として強制すべきものでない業務改善等の提案制度への参加度を査定の対象としたことは、いずれも妥当な措置とはいえない。
0203 職場闘争と業務妨害
別件労委命令で原職復帰を命じられた被解雇者らが職場に立入り就労を求めたが、要求した時間は短時間であって、業務に特に支障があったとの事実も認められず、暴力的であったとの事実も認められないことからして、正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認められない。
0200 宣伝活動
組合が会社の許可していない食堂付近でビラを配布したが、本件の場合、昼の休憩時間中に多数の従業員が集まる食堂付近でビラを配布することが、会社の業務上、施設管理上支障があったとは認められないことからして、ビラ配布は正当な組合活動と判断される。
0200 宣伝活動
組合員が会社正門前に組合旗を保持して立つ行為は、良識ある行動とは言い難い。しかし、会社の警備員が当初組合が会社の鉄柵に掲揚しようとした組合旗を撤去したことに原因があり、しかも組合は、積極的に正門の通行を妨害したものではなく、実際の通行の支障も軽度であるから、このような行為が正当な組合活動の範囲を特に逸脱したものとは言い難い。
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
夏期一時金において申立人組合の組合員を非組合員より低く査定したことについては、何ら合理的理由を見出せず、従来からの労使関係の対立状況を併せ考えれば、会社の措置は組合員であるが故に不利益に取扱い、組合組織の弱体化を企図したものであって、不当労働行為にあたる。
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
班長待遇職である組合員X8の一時金について最低ランクに査定したが、班長待遇が特定の職位を示すものではなく、資格を示すものであること、会社が班長待遇者に対し、職務遂行にあたって一般従業員を異なる責任を課していたことは認められないこと。残業時間数を査定対象とすることは妥当でなく、X8の勤務状態が悪かったとの事実も認められないことから不当労働行為である。
4415 賃金是正を命じた例
マイナス査定の行なわれる以前の一般従業員である組合員で出勤率95%以上の者の一時金査定について、査定分布が、非組合員の査定分布と同様になるよう再査定を命じるのが妥当と判断する。
4413 給与上の不利益の場合
夏期一時金査定差別の救済として差額相当額に年5分の割合による金員の付加を命じた。
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業種・規模 |
一般機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集61集94頁 |
評釈等情報 |
 
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