労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  中部日本放送 
事件番号  愛知地労委昭和49年(不)第27号 
申立人  X1 他18名 
被申立人  中部日本放送 株式会社 
命令年月日  昭和51年 1月12日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合員に対し集団的に昇進を差別した事件で、18名のうち14名について、課次長職、課長補佐、主任、主事への昇進是正、差額の支払を命じ、退職者に関する申立、申立日の1年以前の昇進に関する申立にいては却下し、誓約書の交付および掲示並びに将来の昇進差別の排除に関する請求については棄却した。 
命令主文  1 被申立人中部日本放送株式会社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9、同X10、同X11、同X12、同X13及び同X14を別紙記載のとおりそれぞれ昇進させ、昇進に伴い支払うべき手当と支払済手当との差額を、同人らに対してすみやかに支払わなければならない。
2 申立人X15の申立て及びその余の申立人らの昭和48年12月25日以前の昇進に関する申立てはいずれも却下する。
3 申立人らのその余の申立ては棄却する。
   (別紙略) 
判定の要旨  5124 その他の審査手続
昇進に関する追加申立てが当初の申立てで請求した職位を基礎にその後の昇進を求めるものであったとしても、労委はその申立ての趣旨をくみ、追加申立時点で当初の請求を認容する等適宜の救済を講ずることができ、また、予備的追加の申立てがなかったとしても、審査中にその後の昇進状況が明らかになり、審問において申立後の勤務態度、業績等について当事者双方から積極的・消極的事実の主張、反論の機会が与えられた以上、当初申立以後の昇進差別に関する申立てがないとして救済から除外するのは正当でない。

1200 降格・不昇格
組合員X1ら14名の勤務状況を個別に評価したうえ課長補佐らに昇進させなかったことが不利益取扱いとされた。

5008 その他
会社は労委が昇進に関し、具体的命令を出すことは失当であると主張するが、不当労働行為の救済は会社の不当労働行為がなかったならば申立人らが昇進していたであろう身分又は職位への昇進に伴う差額手当額の支払を命令するものであり、会社の主張は採用できない。

5123 審査中の組合脱退・退職等の取扱い
X15は、会社を任意退職し、会社との間での労使関係は消滅したのであるから、退職の際本件申立てに関し、会社に対していかなる意思表示をしたかを問わず、X15に関する救済申立ては、その内容が会社を相手方とする自主的団結の擁護とは無関係に単純な金銭給付を求めるに帰着する。X15は申立てを維持する意思を放棄しないのであるが、かような救済は労働委員会の権限外であり、申立ては却下を免れない。

5201 継続する行為
会社の昇進発令の時期は毎年3月1日である。審査の対象となる会社の行為は、各年昇進発令時になされた昇進を発令しないという不作為である。申立人らが不作為の背後に組合を昇進で差別するという単一の継続する労務政策があると強調するが、この労務政策をとらえて一個の継続する不当労働行為であると認めることはできない。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集61集51頁 
評釈等情報   

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