労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本放送 
事件番号  香川地労委昭和49年(不)第1号 
申立人  民放労連西日本放送労働組合  外個人6名 
申立人  日本民間放送労働組合連合会中四国地方連合会 
被申立人  西日本放送  株式会社 
命令年月日  昭和51年12月24日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  申立人組合員6名に対する昇格差別事件で、申立前1年以内の各昇格時に遡及しての昇格、バックペイ及び昇格人事における不利益取扱いの禁止を命じ、昇格に関する「継続する行為」及び陳謝文交付については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1及び同X2をそれぞれ昭和48年4月16日付で課長待遇に昇格があったものとして取り扱い、さらに同人らを昭和51年6月1日付で副部長とし、これらに伴い支払うべき基本給、諸手当及び一時金と支払済の基本給、諸手当及び一時金との各差額を同人らに対してそれぞれ支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人X3,同X4及び同X5をそれぞれ昭和48年4月16日付で課次長に昇格があったものとして取り扱い、さらに同人らを昭和51年6月1日付で副部長補佐とし、これらに伴い支払うべき手当を同人らに対してそれぞれ支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人X6を昭和48年4月16日付で主任に昇格があったものとして取り扱い、さらに同人を昭和51年6月1日付で副部長補佐とし、これらに伴い支払うべき手当を同人に対して支払わなければならない。
4 被申立人は、昇格人事において申立人民放労連西日本放送労働組合の組合員に対し、組合員であること又は組合活動を理由に不利益な取扱いをしてはならない。
5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
2900 非組合員の優遇
3700 使用者の認識・嫌悪
組合結成直後から会社が組合を嫌悪していたことが認められること、昇格基準としての具体的評定要領等が必ずしも明らかでなく、かつてある職位の全員をそれぞれ画一的・機械的に上位へ移行が行われた等の昇格の実態、また、同人らの勤務状態・組合活動歴等を総合的に考えると、組合員を部課長等に昇格させないことは組合員に対する差別状態を固定化し、組合の組織拡大を阻止する意図をもってなされた不当労働行為である。

5201 継続する行為
会社の昇格人事はおおむね毎年一回その都度独立して行われ、かつ、それ自体で完結する一回限りのものであると解される。また、それが何回も行われ、同一の不当労働行為意思、同一の態様、時間的連続性の各要件を具備する場合は継続する行為に該当すると判断すべきが相当な場合もあるが、本件は2年間まったく昇格人事が行われていないので、時間的連続性はなく申立前1年以内の昇格人事についてのみ救済の対象となるものと解する。

4416 将来にわたる不作為を命じた例
昇格差別の救済として、主任、課次長あるいは課長待遇に昇格させたうえで、それぞれ副部長補佐とすることと併せて、会社が将来の昇格人事において組合員を不利益に取り扱わないとの保障はないので、組合に対する支配介入の排除として、昇格人事において将来における不作為を命じた。

4823 上部団体
昇格差別事件について地連は、加盟の単位労働組合をもって組織された連合団体であり、その下部組織である組合の団結権の行使あるいは組合の消長等について、多大の利害と責任を有する上部団体であるから、申立適格を有する。

5141 補正されない申立て・要件不備
昇格に関する申立ては昇格措置行為の日から1年を経過していること等から、これらについて申立ては補正されるべきであり、補正されない限りは審問条件が具備し得ないから却下すべきと会社が主張するが、審査の対象たるべき不当労働行為の実態、内容、性質等について審問前の調査の段階で明らかにするか、審問の段階で明らかにするかの判断は、労委の審査指揮に属することであり、会社主張は採用できない。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集363頁 
評釈等情報   

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