労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  佐久間病院 
事件番号  北海道地労委昭和51年(不)第20号 
申立人  旭川地区中小企業労働組合連合会 
申立人  佐久間病院労働組合 
被申立人  佐久間病院長  Y1 
命令年月日  昭和51年12月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  賃上げに関する団交継続中に一方的に賃金を決定、支給し、また職制が組合脱退を勧奨したり団交への上部団体の者の不参加を要請した事件で、誠意ある団交応諾、支配介入の言動をなした職制に対し厳重注意を与えること、ポスト・ノーティス及び命令の履行報告を命じ、陳謝文の新聞掲載については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人らから昭和51年2月18日付けで要求のあった事項、とくに平均昇給率以下に査定された者の賃上げ等について、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、使用者側の者が、申立人組合の組合員に対し、組合脱退を勧奨したり、団体交渉に上部団体の不参加を要請する等、組合の運営に支配介入する言動をしないように厳重に注意を与えなければならない。
3 被申立人は、下記の声明書を申立人らに手交するとともに、同文を本命令書交付の日から3日以内に縦1メートル、横1.5メートルの大きさの模造紙いっぱいに墨書し、被申立人病院の正面玄関で従業員の見易い場所に7日間掲示しなければならない。
              記
 声  明  書
 当病院は、昭和51年度賃上げ等要求にかかる団体交渉において、不誠意な態度に終始し、さらに、組合の運営に支配介入する言動があったため、北海道地方労働委員会より労働組合法第7条第2号・第3号に該当する不当労働行為と認定されました。
よって、このことを深く反省するとともに、この命令を忠実に守り、今後労使関係の正常化に努力します。
昭和 年 月 日
佐久間病院
院長 Y1
佐久間病院労働組合
執行委員長 X1 殿
旭川地区中小企業労働組合連合会
執行委員長 X2 殿
4 被申立人は、第1項乃至第3項の命令実施後、すみやかに履行状況を当委員会に文書で報告しなければならない。
5 申立人のその余の救済申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
院長が、組合要求に応えないばかりか、真面目に検討する努力を全くせず、平均昇給率と最高・最低率を示した会社回答に固執し、事態の進展のないまま4月分給与を支給したことは一方的に個々人の昇給月額を査定した結果を組合に押しつけようとしたものであり、病院長案を組合に納得できるよう真剣に説明し、説得した形跡はないのであって誠意をもって組合に対応したものとは認められない。

3411 その他の従業員の言動
組合結成以来、団交における病院側の書記的立場にある非管理職者が副委員長を別室に呼び入れ、組合脱退を勧奨し、また、詰所で団交の席に上部組合の者を加えないでほしい旨申入れたことは使用者の不当労働行為であり、仮りに、職務上管理職でなく、また、院長との意思連絡がなくても、使用者側として団交に常時出席してきた者であり、同人の行為について院長は責任を負わなくてはならない。

2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合結成以来、団交における使用者側の書記的立場にある非管理職者の組合脱退勧奨、上部組合の者の団交出席拒否の言動が支配介入とされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集303頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]