労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  戸田屋 
事件番号  長野地労委昭和51年(不)第7号 
申立人  総評・全国一般労働組合長野地方本部 
被申立人  株式会社  戸田屋 
命令年月日  昭和51年12月 1日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  団交場所を社外とすることに固執、腕章取はずし通告書の交付、組合旗撤去を求める通告、朝礼時における会社課長の組合非難の発言、組合貼付ビラの撤去、ビラおよびアンケート配布に対する警告書の交付、会社施設の利用拒否、会社部長の組合脱退勧奨、副委員長および書記長の配転、職場離脱を理由とする副委員長に対する警告、訓戒処分および賃金カット等をめぐる事件で、団交場所固執の禁止、組合役員の配転等8項目の支配介入禁止、副委員長に対する警告および訓戒処分の取消しを命じ、組合旗の撤去通告ならびに副委員長の配転・誓約書の手交および掲示については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、団体交渉の場所を、正当な理由がないのに、社外とすることに固執してはならない。
2 被申立人は、次の行為をして、申立人組合飯伊支部戸田屋分会の運営に支配介入してはならない。
(1) 分会の弱体化を図る目的で、分会役員を配置転換すること。
(2) 闘争時、朝礼のような場で、会社管理職が正当な組合活動を非難するような発言をすること。
(3) 勤務時間外のビラ及びアンケート配布に対して、警告書を交付したり、「懲戒処分になる。」等の発言をすること。
(4) 腕章を着用した分会員個人に、取り外すよう通告書を交付すること。
(5) 分会が社屋に貼付したビラを、分会に撤去を要請する等相当な手続きを経ないで、直ちに撤去すること。
(6) 組合集会のための会社施設の貸与を、業務以外には使わせないという理由だけで拒否すること。
(7) 会社管理職が、組合脱退を慫慂すること。
(8) X1が、団体交渉に出席するため職場を離脱することにつき、分会と協議せず一方的に賃金をカットすること。
3 被申立人は、昭和51年8月2日付の警告書をもってなした、X1に対する警告及び訓戒処分を取り消さなければならない。
4 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
0204 団交・争議に付随する行為
1204 スト・カット
1400 制裁処分
分会副委員長X1の離席が本社で行われた団交出席のためであり、会社専務がX1の団交出席を妨げない旨の発言をしていたこと、X1の行動によって勤務地の事務所業務に支障が生じていないこと等からKの行動を一概に非難することはできず団交の席上はもちろんその後もX1に対し、何ら異議を唱えず、分会に対しても何ら協議等することなく、一方的に警告書を交付しかつ賃金カットした会社の行為はX1の団交出席を制約しようとしてなした不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3011 従業員教育
朝礼時における人事課長の賃上げ要求をやめようとの発言は、労使関係の直接当事者である人事課長が、分会が闘争体制を強化した時期に、従業員から発言のできない圧倒的多数の非分会員のいる朝礼で、賃上げ要求という正当な組合活動を暗に非難したもので、従業員教育としての範囲を逸脱した支配介入である。

0200 宣伝活動
0203 職場闘争と業務妨害
3020 組合活動への制約
分会のビラ貼付には、しばしば行き過ぎもあるが、会社社屋へのビラ貼付によって、特に会社の業務に支障をきたしていないこと、貼付したビラの枚数は約50枚で、大幅賃上げせよと記したものであることなどを考えれば、争議中の組合活動として不当なものとは認められず、分会にビラの撤去を要請せず、直ちに撤去した会社の態度は行きすぎであり、組合活動に対する支配介入である。

0200 宣伝活動
0203 職場闘争と業務妨害
1400 制裁処分
3020 組合活動への制約
過去3回にわたる分会のビラなどの配布はいずれも昼休みの休憩時間中に行ったものであり、限られた枚数を手渡したにすぎず、業務に支障をきたしたり、職場秩序を乱した事実もないから正当な組合活動であり、同配布行為に対する警告書の交付や課長の部下である分会員に対する発言は支配介入である。

0420 その他の争議行為
食品卸売業における分会員の腕章着用が賃上げ闘争中の行為として特に不当とは認められないとされた例。

1300 転勤・配転
分会と事前協議もなく副委員長を本社から他市の連絡事務所に勤務させたことが不利益扱いでないとされた例。

1300 転勤・配転
分会書記長をセールス部門から配送部門に配転したことが不当労働行為とされた例。

2212 交渉の場所・時間
3020 組合活動への制約
組合結成以来、組合の団交申入れに対して終始時間制限のある社外の施設で団交を行ったことが法7条2、3号の不当労働行為とされた例。

0420 その他の争議行為
3106 その他の行為
分会の決定に基づいて腕章を着用した分会員各人に対し通常の服装で勤務するよう通告したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
分会が会社敷地内に掲揚した組合旗について、会社が撤去するよう通告したことが支配介入でないとされた例。

3020 組合活動への制約
分会の集会のための会社施設の貸与要求を拒否しつづけていることが支配介入とされた例。

業種・規模  卸売業、小売業、飲食店 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集235頁 
評釈等情報   

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