労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  文昭堂印刷 
事件番号  神奈川地労委昭和50年(不)第18号 
神奈川地労委昭和50年(不)第30号 
申立人  全国金属労働組合神奈川地方本部川崎地域支部 
被申立人  文昭堂印刷  株式会社 
命令年月日  昭和51年11月19日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合のビラ配布および腕章着用闘争に対する干渉妨害、組合旗の無断撤去、放言を理由に分会長に詫状等提出要求、期日延期・協定調印拒否等の団交態度、机の配置換えによる分会員の隔離等をめぐる事件で、ビラ配布活動、腕章着用闘争等への干渉妨害の禁止、誠意ある団交応諾、隔離措置のとりやめおよびポスト・ノーチィスを命じ、組合旗撤去については棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、会社構内において申立人組合員が行うビラまき、腕章着用の闘争などの正当な組合活動に干渉妨害してはならず、申立人組合員のこれらの活動に対する社員協議会に属する従業員の干渉妨害を放任してはならない。
2 被申立人は、社員協議会の存在すること及び社員協議会からの申入れを理由として、申立人組合からの団体交渉申入れを軽視せず、誠実な態度でこれに応じなければならない。
3 被申立人は、本社2階デザイン室において申立人組合員X1、X2を本立てで他の従業員と隔離しているような机の配置を申立人組合と協議のうえ直ちにとりやめなければならない。
4 被申立人は、縦1メートル、横2.5メートル以上の白色木板に下記のとおり明瞭に墨書し、被申立人の本社正門の見やすい場所に毀損することなく10日間掲示しなければならない。
            記
 昭和 年 月 日
 全国金属労働組合神奈川地方本部川崎地域支部
  執行委員長 X3 殿
             文昭堂印刷株式会社
              代表取締役 Y1
 当社が、貴組合の弱体化を企図して貴組合及び文昭堂分会が昭和50年3月28日以降行ったビラまき、腕章闘争を妨害し、貴組合との団体交渉に誠意をもって応ぜず、貴組合の組合員X4、X1、X2の3名を同年7月15日以降本社2階デザイン室で本立てで他の従業員から隔離するような机の配置をするなど貴組合の活動に介入したことは、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに今後このようなことを繰り返さないことを誓約します。
5 その余の救済申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2246 併存団体との関係
2252 署名・調印拒否
親睦団体に賃金、一時金について回答額を示すなどして組合との団交をないがしろにしたり、合意事項について協定化しないことは誠意ある団交態度とはいえないとされた例。

2700 威嚇・暴力行為
分会長が泥酔の上で放言したことを取り上げ何回も同人を問責し、てん末書等の提出を要求したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
昼休みに工場内の通路での組合ビラ配布を妨害したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
3102 争議対抗手段
会社の団交態度に対する抗議行動の一環としてなされた分会の腕章着用闘争を非難、阻止したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
会社に対する抗議行動として、組合が社名板に掲揚した組合旗の取りはずしを求めたり、一方的に取りはずしたことが支配介入でないとされた例。

3200 不当労働行為とされた例
机の配置を替え、分会員3名らを他の従業員から隔離したことが別件事件の救済申立てに対する報復としてなされた不当労働行為とされた例。

2700 威嚇・暴力行為
3411 その他の従業員の言動
従業員有志と称する者が実力で組合員の腕章をとりはずしたことにつき、会社が何らの措置もとっていないことから、これら行為を黙認、利用して分会員の正当な組合活動に干渉妨害したものとされた例。

4602 組合との協議を命じた例
4700 労組法7条4号(申立てによる不利益取扱い)の救済
別件不当労働行為事件申立て直後に分会員を他の従業員から隔離したことに対する救済措置として、組合と協議のうえ隔離しているような机の配置を是正するよう命じた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
5200 除斥期間
組合を中傷誹謗し、組合員に脱退を強要した会社の行為が、本件申立て前既に1年以上経過していることから棄却された例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集206頁 
評釈等情報   

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