労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  三和機工・協和機工 
事件番号  大阪地労委昭和50年(不)第15号 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合大阪地方本部協和機工支部 
被申立人  Y2 
被申立人  株式会社  三和機工  代表清算人  Y2 
被申立人  Y1 
命令年月日  昭和51年10月30日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社を解散し、組合員全員を解雇した事件で、清算が結了するまでの間の賃金相当額(年5分の割合による金員を含む)の支払い及びポスト・ノーティスを命じ、旧社の代表取締役個人及び代表清算人個人に対する申立ては却下し、企業再開及び旧社敷地内からの立退き要求の中止については棄却した。 
命令主文  1 被申立人株式会社三和機工は、申立人組合の組合員らに対して、同人らが株式会社協和機工を解雇された日から、改めて株式会社三和機工の清算が結了する日までの間、同人らが受けるはずであった賃金相当額(既に支払った金額を除き、年5分の割合による利息相当額を含む)を支払わなければならない。
2 被申立人株式会社三和機工は、申立人組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
              記
                   年  月  日
   申立人組合代表者あて
             株式会社 三和機工代表者名
 当社は、当社の前身である株式会社協和機工当時、貴組合を嫌悪し壊滅するために同社を解散し貴組合の組合員らを解雇するとともに、賃貸契約を解除して貴組合が使用していた組合事務所から貴組合の排除を図り、これと前後して当社を設立しました。
 これらの行為は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であることを認めここに陳謝します。
3 申立人の被申立人Y1及び同Y2に対する申立ては、これを却下する。
4 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1700 偽装解散
組合員らを解雇し、会社を解散し、さらに実質的には旧社と同じである新社を設立したことは、解散会社と新会社が、その事業内容、機械類、取引先等も殆んど変わらず、従業員も組合員らが除外された以外はその実態は旧社当時とほぼ同じであることその他の事情からみると会社は、組合を嫌悪し組合員らを企業外へ放逐するために同人らを解雇し、旧社を解散し、新社を設立したものと認めるのが相当であり、これら一連の行為は不当労働行為である。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3020 組合活動への制約
会社が同社の敷地、建物の所有者との間に締結されていた賃貸契約を解除したために所有者から組合に対し組合事務所の明渡請求がなされたのであることから、この契約解除は組合員らを会社から放逐することを目的としてなされた同社解散と軌を一にするものであることが明白であり、組合の弱体化ないしは壊滅を企図した支配介入である。

4407 バックペイの支払い方法
4421 文書掲示等を命じた例
旧社の解散と新社の設立が不当労働行為であると認められても、その後新社の解散が不当労働行為意思に基づくものではないことが認められること並びに現行法制度上、企業再開まで命ずることはできないことからみて、企業再開の申立ては棄却し、ポスト・ノーティスおよび新社清算結了の日までのバックペイを命ずることが相当である。

4910 事業廃止に伴う新経営者
新社は解散した旧社と法人格こそ違え、その事業内容、機械類及び取引先は殆んど同じであり、従業員も組合員らが除外された以外はその実態はほぼ変わりがないのであるから、旧社が行った組合に対する支配介入、組合員の解雇の責任について法人格が異なることを理由に新社の当事者適格を否定することはできないと判断している。

4911 解散事業における使用者
本件S社は、解散し清算を結了したものとして登記されているが、本件が当委員会に係属している以上、清算結了したものとは認め難く、なお清算法人として存続していると考えるのが相当であり、清算法人たるS社は本件の責めを負わなければならない。

5008 その他
会社解散に伴う組合事務所の立退き要求の中止が民事訴訟を通じて解決すべきものとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集87頁 
評釈等情報   

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