労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ラジオ関西 
事件番号  兵庫地労委昭和49年(不)第9号 
申立人  民放労連ラジオ関西労働組合 
被申立人  株式会社  ラジオ関西 
命令年月日  昭和51年10月26日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  組合員3名を44年以降課長職に昇格させなかった事件で、同人らを47年10月1日付で課長職に昇格させること及びバックペイ、誓約文の掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合の組合員X1、同X2及び同X3を、昭和47年10月1日付で課長職(ただし総務課長を除く。)に昇格させ、同日以降上記昇格に伴う諸給与の差額を支払え。
2 被申立人会社は、下記文書を本命令交付の日から7日以内に、縦1m横2mの白板に墨書し、会社々屋内の、一般従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
               記
 当会社は、今まで貴組合組合員X1、同X2及び同X3の3名を課長職に昇格させていませんでしたが、このたび兵庫県地方労働委員会において、いわゆる労働組合法上の管理職に関する当会社の考え方に誤りがあり、上記3名を昇格させていないことは不当労働行為であると判断されました。よって今後、この種の昇格差別は、いたしません。
                 昭和 年 月 日
 民放労連ラジオ関西労働組合
  執行委員長 X4 殿
           株式会社 ラジオ関西
            代表取締役 Y1 
判定の要旨  1200 降格・不昇格
2900 非組合員の優遇
課長職は総務課長を除きいわゆる使用者の利益代表者とは認められないにも拘わらず会社は全課長が労組法上の管理職であると主張して、昇格対象者には事前に組合脱退を求め、団交でも組合員は課長にしない旨発言する等一貫した態度をとっていること、また組合員らに課長としての適格性がないという点について疎明がないことなどを総合すると、組合員らを課長職に昇格させなかったことは、不当労働行為である。

4415 賃金是正を命じた例
総務課長はその分掌事項、職務権限等からみていわゆる使用者の利益代表者に該当するが、その他の課長は労組法上の管理職と認める疎明がないから、課長昇格差別の是正として組合員らが求めた組合員のままでの課長昇格を命ずることは、総務課長への昇格を除いては何ら問題はない。

5004 管理職への登用の請求
本来不当労働行為の救済としての原状回復というのは、その不当労働行為がなかった場合に本来あるべき状態に回復させることをいうのであるから、不当労働行為によって課長に昇格していない者を課長に昇格させることは当然に必要な救済内容というべきであって、課長昇格が人事権の行使によるものであるとしてもそれが不当労働行為となるときは人事権行使の正当な範囲を逸脱するものとして前記判断に影響を及ぼすものでない。

5201 継続する行為
組合員らを課長に昇格させなかった各時期の人事は全体として1個の不作為であると解すべきであり、不作為の行為はそれが完結する時期が明らかでないから時間的制限の定めにはなじまないものであること、また、本件会社の昇格人事は随時実施されていることからして時間的連続性が認められること、組合員である限り課長に昇格させないという会社の方針に基づくものであり、かつ唯一の理由であること、また、その不作為の状態はそれが解消した時期にはじめて完結するものであることから、それまでは労委規則第34条第1項第3号の「継続する行為」に該当すると考えるのが相当である。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
課長職への大量昇格とこれに伴う組合脱退要求が長期闘争後に始まり、その結果として組合員が減少し、闘争力を著しく減殺し、資金面で相当の不利益をもたらしたこと等からみて、課長職への昇格差別が支配介入とされた例。

4825 その他
申立人組合に総務課の課長代理が加入していても同人の職務内容からみて使用者の利益代表者とは認められないので、申立人組合に申立人適格があるとされた例。

業種・規模  放送業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集60集60頁 
評釈等情報  労働経済判例速報 昭和52年 2月10日  936号(28巻 3号)  9頁 

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