労働委員会命令データベース

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  ひかり幼稚園 
事件番号  神奈川地労委昭和50年(不)第39号 
申立人  神奈川私学単一労働組合ひかり幼稚園分会 
申立人  神奈川私学教職員組合連合 
被申立人  学校法人  ひかり学園 
命令年月日  昭和51年 9月17日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  教職員の家庭を訪問して組合活動をしないよう説得し、教職員に組合加入の有無を質問し、組合集会のための施設貸与を拒否し、組合文書の配付を妨害し、組合員に退職を勧奨し、用務員らにパート化を通告しさらに同問題の団交を拒否した事件で、誓約書の手交・誓約書の内容の誠実履行等を命じ、ポスト・ノーティス及び新聞広告は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、本命令交付後1週間以内に、下記誓約書を申立人らに交付しなければならない。
              誓 約 書
(1) 当園は、X1及び同人らのパート化等に関する貴組合からの団体交渉申入れに対し、全教職員に説明したから団体交渉は必要ないなどと団体交渉につき誠意ある態度を示さず、また、すべての分会員氏名が明らかにされていないこと、団体交渉のルールが設定されていないことなどを理由に団体交渉を行いませんでした。
(2) 当園は、(1)各教員の実家を訪問して、御両親に対し、各教員が組合活動をしないよう、組合に加入しないよう説得を依頼したり、(2)給料支給の際の対話において各教職員の組合活動について問い質したり、(3)分会の集会に部屋の使用を拒んだり、(4)分会の手紙配付を実力で阻止妨害したり、(5)園を閉鎖すると通告したり、(6)X1に退職を勧奨したり、(7)X1ら3名の用務員の身分をパートタイマーとしたり、(8)関長寿に対し退職勧奨などをしたり、するなどいたしました。
(3) 当園がいたしましたこれら一連の行為は、貴組合にたいする不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会により認定されました。ここに陳謝の意を表するとともに、今後このような不当労働行為をくり返さないことを誓約いたします。
    昭和51年 月 日
       神奈川県私学教職員組合連合
          執行委員長 X2 殿
       神奈川私学単一労働組合ひかり幼稚園分会
          分会長   X3 殿
              学校法人 ひかり学園
                 理事長 Y1
                 園 長 Y2
2 被申立人は、主文第1項の誓約書で誓約したことを誠実に履行しなければならない。
3 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
分会が園児に託した父兄あての手紙の内容は、園児の父兄に対し組合結成を通知し、協力を要請したもので、組合の教宣活動の一環としてなされたものであり、また、園児に手交するという配付の方法については、組合としても配慮すべき問題であったとしても平穏に配付されていたものであり、これを園長らが騒ぎたててビラの奪い合いになったとしても、正当な組合活動と認めざるをえない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
園長らの組合員宅訪問は、組合結成通告後、教員らが組合員であることを承知の上で、同人らが帰郷する前に急きょなされており、教員の実家では組合結成通告書を示して暗に組合脱退ないし組合に加入しないよう両親に説得を依頼しているのであるから、各教員の自由な組合活動を規制する意図のもとになされた支配介入である。

3020 組合活動への制約
空いている部屋を組合に使用させても、園の業務遂行上支障を生ずるおそれが認められないにもかかわらず、組合会議のための会議室使用を拒否した真の理由は組合が上部団体に加入していることにあると認めざるを得ず、本件園の行為は教職員の組合活動を規制しようとした支配介入である。

4505 その他
団交ルールの未確立等を理由に団交を拒否した後現在団交も行われるようになっているが、本件審査の全経過から見て、なお、園には団交につき不誠意な態度をくり返すおそれが認められるので、団交ルールの不確立等を理由とする団交拒否を今後くりかえさない旨の誓約書を命ずるのが相当である。

2210 組合員名簿・組合規約不提出
2211 団交ルールの先議
団交ルールの未確立、組合員名簿の不提出等を理由に団交を拒否したことが不当労働行為とされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
組合結成直後に教職員との対話の機会を求めるとして給与の支払方法の自動振込を廃止し直接手交することとしたことが組合員に心理的圧迫を加える支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2700 威嚇・暴力行為
園長、主事が主任にするから組合を脱退したらどうか等の発言をしたことが支配介入とされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会が組合結成を通知する手紙を父兄に配付した直後に木造園舎を取りこわし、それを理由に組合員X1らに退職勧奨し、用務員の身分のパート化を通告したことが支配介入とされた例。

3700 使用者の認識・嫌悪
分会が父兄あての手紙を配付したことを理由に突如全職員に園の閉鎖を通告したことが支配介入とされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集59集268頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]