労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東洋プライウッド 
事件番号  愛知地労委昭和48年(不)第20号 
申立人  東洋プライウッド 労働組合 
被申立人  東洋プライウッド 株式会社 
命令年月日  昭和51年 9月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  48年度昇給の考課査定において組合間差別した事件で、労委が特定した平均額を下回らない額での再査定の実施(再査定前の査定結果を下回らない)、再査定の結果変更が生じた場合の基本給の修正並びに差額の支払い、及び誓約文の手交を命じ、本件申立て後の退職については棄却した。 
命令主文  1 被申立人東洋プライウッド株式会社は申立人東洋プライウッド労働組合に所属する組合員(ただし、本件審問終結時に組合員であった者に限る。)に係る昭和48年度の昇給における考課分の平均が 1,900円を下回らないように、申立人東洋プライウッド労働組合に所属する前記の者の昭和48年度の考課査定につき再査定を実施しなければならない。ただし、再査定の実施に当っては、再査定前の査定結果を下回ってはならない。
2 被申立人東洋プライウツド株式会社は、前項の再査定をした結果昭和48年度の昇給における考課分に変更が生じたときは、申立人東洋プライウツド労働組合に所属する前記の者の昭和48年4月以降の基本給を修正し、修正前の基本給を基礎として支払われた金員との差額を同人らに対してすみやかに支払わなければならない。
3 被申立人東洋プライウツド株式会社は、申立人東洋プライウツド労働組合に対し、下記文書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければならない。
                記
 会社は、昭和48年度昇給において考課査定上貴組合所属組合員を差別したことを認め、今後かかることのないよう誓約いたします。
     昭和 年 月 日
   東洋プライウツド労働組合
     執行委員長 X1 殿
            東洋プライウツド株式会社
               代表取締役 Y1
4 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
別組合員の考課平均が組合員の各々のそれを上回っているが、役職者構成の違いによるとは認められず、無届欠勤日数がどのように評価されたか具体的疎明がなく無届欠勤や欠勤回数が多くても考課の悪くない者も存在し、申立人組合員の中には規律を守らず、義務と責任感に欠ける者が多いとの疎明もなく、組合分裂後、申立組合員については全体に低位に偏っていること等から本件昇給の考課査定差別は不当労働行為である。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
退職者9人については組合員に準ずる取扱いをする旨の決定が闘争委員会でなされているものの、組合員である旨の確認はされておらず、退社と同時に組合規約により組合員資格を失っているものと認めるの外なく、また、本件申立てが組合申立てであることにかんがみ、退職者9人に関する申立てを棄却する。

4415 賃金是正を命じた例
役職者が一般従業員より考課分が高いこと、組合間に役職者の分布が違うこと、一般従業員の考課分の平均がおおむね 1,800円で配分されたこと等から、申立人組合所属の一般従業員を 1,800円とし、助手と一般従業員の平均の割合で助手の考課平均を求め、各々の平均額を基準にして組合の考課平均を求めると 1,902円になること等から 1,900円を基準に再査定を命ずるのが妥当である。

5121 挙証・採証
賃金差別事件においては、申立人組合員が申立人組合員以外の者より低い賃金とされているか否か、また、その差が合理的理由に基づくものかを判断するものであり、本件の場合組合は、その組合員各人について具体的な救済を求めるものでなく、組合全体としての救済を求めているものであるから、必ずしも組合に所属する組合員一人一人につき勤務状況や査定の当否について主張・立証しなければならないものではない。

業種・規模  木材・木製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集59集233頁 
評釈等情報   

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